が、比べると木材は自然に近い。幼いころから環境教育や自然教育を受け高い意識を持っている若い人たちが建築をすると、自ずと隈さんが目指しているのと同様の方向に向かうと思います。ただし、一辺倒になると問題が起きますから材料に関しては、適材適所だと思います。まちの宝は、まちの人たちの価値観で見つけるもの松村 まちづくりに大切なのは〝宝探し〟。住んで生活している人たちが日頃は「大事だ」と認識していないものの中に神戸らしい〝宝〟があります。それらを空間資源としてとらえ、その中で活動する人間のアクティビティーを重要視しながら新たにフィットする活動をどう入れていくかを考えることが大切です。全国系のテレビ番組で芸工大OBの西村周治さんが兵庫区梅元町の山の麓で始めた「西村組」の活動が紹介されました。廃屋を見つけて買い取り、複数をまとめて改造して新しく人が住んだり、スモールビジネスを始めたりしているようです。廃屋は普通の人から見たら捨てるべき〝ごみ〟ですが、西村さんたちにとっては宝なのです。文化財が専門家によって文化的レベルを評価されるのとは違い、まちの宝は一般の人たちが「使える」「面白い」などと評価するもの。人それぞれ視点が違い、利用者次第ということです。久元 人口が減少し住宅は余り、より循環型持続可能な社会が求められる時代にタワーマンションに代表される鉄とコンクリートを使う建物を造り続けるのでしょうか?梅元町ではおそらく築100年以上でグレードの高い建物が老朽化し相当数空き家になっていました。西村組はそこで、いろいろな人たちの参画も得て、本来なら捨てられてしまう建築廃材などを用いながら次々と空き家を改修しています。既にある資産である空き家がデザイン性の高い方法で再生され有効活用されています。荒廃した山の森林資源を間伐して木材を作り空き家を再生し、そこに建築家やクリ神戸芸術工科大学のOB西村周治さんが率いる「西村組」では、廃屋を買い取り、改造して新しい住まいに活用するbeforeafter37
元のページ ../index.html#37