KOBECCO(月刊神戸っ子)2025年1月号
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強烈な揺れによって起きた現実には「こんなことになるのか!」とただただ驚くばかりでした。地震はいつ、どこで起きるのか分からない。常に備えを!久元 私が防災を担当していた1978年当時、大規模地震対策特別措置法ができ、「東海地震は予知できる可能性が高い」という前提のもと、気象庁長官が出す地震予知情報に基づいて内閣総理大臣が警戒宣言を出した場合の様々なオペレーション計画が立てられました。全面的に否定はしませんが、「地震は予知できる」という幻想を国民に与え、「駿河湾沖を震源に起きる」と思わせてしまったことは罪なことだったと思っています。現実に起きたのは阪神・淡路であり、東日本でした。南海トラフ地震や首都直下型地震に注意が必要と言われていますが、地震はいつ、どこで起きるのか分からないということを前提にするべきです。経験則から南海トラフ地震は概ね100年から150年に一度の割合で起きる可能性はあり警戒や対策は必要です。その一方で能登半島に対して十分な警戒がなされていたでしょうか。先入観は極めて危険だと思います。震災直後から進めてきた災害に強いまちづくり久元 神戸は震災の翌年から様々な被害想定を作成しながら災害に強いまちづくりを進めてきました。震災後長期間に神戸市長 久ひさもと元 喜きぞう造1954年神戸市兵庫区生まれ、1976年東京大学法学部卒業、同年旧自治省入省。内閣審議官、総務省選挙部長、同自治行政局長などを経て、神戸市副市長。2013年に神戸市長に当選、現在3期目。2022年4月指定都市市長会会長に就任。34

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