KOBECCO(月刊神戸っ子)2025年1月号
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そして昨日より今日1日、歳をとっただけのことです。一歩、死に近づいただけのことです。死は恐怖の対象ではないのです。死こそ正月です。祝祭です。生よりも死の方として生きていると思えば、悩みも苦しみも病もなくなるんじゃないでしょうかね。大晦日も正月も特別のものではありません。時計の針がコトリと音を立てて未来へ進んだだけのことです。横尾忠則現代美術館美術家 横尾 忠則1936年兵庫県生まれ。ニューヨーク近代美術館、パリのカルティエ財団現代美術館など世界各国で個展を開催。旭日小綬章、朝日賞、高松宮殿下記念世界文化賞、東京都名誉都民顕彰、日本芸術院会員。著書に小説『ぶるうらんど』(泉鏡花文学賞)、『言葉を離れる』(講談社エッセイ賞)、小説『原郷の森』ほか多数。2023年文化功労者に選ばれる。『横尾忠則の人生スゴロク展』始まります!2025年1月17日(金)より横尾忠則現代美術館(神戸市灘区)にてがもっと高度です。死んだら即座にそのことがわかります。そうなんだ、死って救いなんだ。僕は365日毎日が正月のつもりで生きています。『RORRIM 5』1987年 SWATCH 蔵(スイス)21

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