KOBECCO(月刊神戸っ子)2025年1月号
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大学病院の形成外科は、他の診療科とも連携して大きな役割を担っています。どんな治療や手術が行われているのでしょうか。榊原俊介先生にお話を伺いました。―形成外科の主な役割は?かすり傷や深くまで至っている挫滅創まで、熱傷(やけど)や犬の噛み傷などの急性創傷を正しく治療して、きれいに治すのが形成外科の一つの役割です。さらに、傷口に皮膚が張らずじゅくじゅくした状態が続く慢性創傷の治療も形成外科の守備範囲です。例えば寝たきりの状態で起きる褥瘡(じょくそう・床ずれ)や、手術後の感染症によって起きる創傷部をきれいにして傷口を閉じる処置などがあります。この領域については専門的に治療をするのが、形成外科の大きな役割の一つになっています。他にも、小児の先天奇形の治療や美容外科も形成外科の範囲です。―腫瘍の切除も形成外科で行うのですか?皮膚やその近くにできた腫瘍を摘出・切除するだけでなく、他の診療科とチームを組み、腫瘍の切除後にできた欠損部分の再建を担当するのも形成外科の領域です。神大病院では、がんの摘出手術による欠損部分に対する再建で多くの症例を扱っています。―どんながんの手術で欠損部分を再建するのですか。主に乳がんと頭頚部がんで、患者さん本人の体の他の部分から組織を切り取って欠損した部分に移植して再建します。整形外科と協力して、脂肪や筋肉から発生する肉腫の手術後、形成外科で再建をするケースもあります。―体のどの部分からどんな組織を持ってくるのですか。再建する場所によって違い、基本的には機能の損失が少ない部分です。例えば、乳がん手術後の乳房再建では、腹部か背中から持ってきます。腹部の場合は、皮膚と皮下脂肪に血管を付けたまま体から一旦切り離し、乳房の場所で手術用顕微鏡を用神大病院の魅力はココだ!Vol.39神戸大学医学部附属病院形成外科・美容外科榊原 俊介先生に聞きました。106

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