KOBECCO(月刊神戸っ子)2025年1月号
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─神戸市医師会は「震災30年市民フォーラム」を2月1日に開催しますが。堀本 30年経ち、震災を知らない世代が増えてきていますので、記憶を風化させずに経験や教訓を伝承していくことがますます重要になってきています。これまでも犠牲者に対する追悼、そして創造的な復興を遂げた神戸への支援に対する感謝を趣旨としつつ、将来起こりうる災害に対しての備えについてもみんなで考えてやっていこうとフォーラムを開催してきましたが、今回は特に若い人への伝承ということも考え、6大学合同混声合唱団や神戸少年少女合唱団にも参加していただくプログラムを企画しています。キムラ 本当に正しい形で次の世代の人へ伝えていく、そのことをどう捉えて自分は生きていくのか、そしてまた未来に繋げていくのかということは本当に重要なことだと思います。いまの子どもたちは30年前の震災のことは知らなくても、能登のこと、最近の豪雨のことなど、いま地球上で起きているいろいろなことを知っている。でもそのことがいつ自分に降りかかってくるのか?それを具体的に想像して捉える力をどれだけ持つかが大切ですよね。子どもの頃、修学旅行で広島で見た詩、原爆の時に喉が渇いて泥水を飲んだというような詩なんですけれど、それがどういうことなのかを想像して涙が止まらなくなった体験があるのですが、それがいまだに自分の心の中で人の心を想像する力になっていると思っているんですよ。子どもに対し災害の惨状を「えげつないから」と隠すのではなくて、ちゃんと起こった事実をお知らせしないといけないと思います。堀本 おっしゃる通りで、隠すことなく事実を伝え、自分の身になって考えてもらうことが非常に大事だと思います。─フォーラムでは、キムラさんが消防士の体験記を朗読されるそうですが。キムラ 消防士の方がどういう思いでどういう活動をされて、この街をどう守ったのかをしっかり伝えられたらいいなと思います。当日泣いてしまわないよう、あらかじめ何回も読んでおかないといけないですね。─今回、久元市長もフォーラムに参加されますが、災害に強いまちづくりについてのお話が聴けそうですね。堀本 震災からの30年間、そしていまも、神戸を災害に強いまちとして未来に向かってつくっている過程ですので、ぜひ久元神戸市長にそういうこともお話いただければと思います。キムラ トップの考えは本当に大切です。堀本 一方で、災害に強いまちづくりは行政だけでできるものではありません。市民の災害やより災害に強い神戸に自分事とする想像力を104

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