KOBECCO(月刊神戸っ子)2024年12月号
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防ぎ切れない場合もあるのが現実です。―どんな方法で治療をするのですか。日本には現在、約1千万人の糖尿病のある方がおられ、その治療法は「1千万通り」などと言われています。中でも、幾つかの遺伝的素因が重なり、さらにそこに生活習慣のような環境的要因も加わって発症する2型糖尿病の場合は、薬物療法も様々な手段があります。薬物療法、場合によってはインスリン製剤も使い血糖管理をする治療をはじめ、専門医、看護師、薬剤師、栄養士、理学療法士など多職種でチームを組み、患者さんのQOL(生活の質)を保ちつつ個人、個人に合った最適な治療の提供を目指しています。―「その他」に分類される糖尿病は?特定の遺伝子の変異が原因で起きる単一遺伝子疾患としての糖尿病や薬剤による糖尿病などが分類されます。最近は、がん治療に使われる免疫チェックポイント阻害薬によって発症するケースもあります。がんに対して非常に効果の高い治療法ですが、糖尿病に限らず内分泌疾患など免疫に関連する疾患を引き起こすリスクも併せ持っています。―減量外来は糖尿病予防を目的としているのですか。肥満があることによって糖尿病だけでなく脂質異常症、高血圧や心筋梗塞、脂肪肝、運動器疾患などさまざまな健康障害を起こしてしまう場合は「肥満症」という疾患として治療を行います。神大病院は肥満症治療の専門施設でもあり、糖尿病・内分泌内科に減量外来を開設しています。ここでも多職種でチームを組み個々に合わせた減量プログラムを実施しています。新たに開発された薬剤を使う減量治療も積極的に取り入れ、また食道胃腸外科と連携して胃の部分切除手術である減量・代謝改善手術を行う場合もあります。他の疾患の有無にかかわらず、減量がうまく進まない方はぜひ一度相談いただきたいと思います。―内分泌疾患とは? 糖尿病もその一種ですか。甲状腺ホルモンが出すぎるバセドウ病、逆に少なくなる橋本病をはじめ、脳下垂体ホルモンや副腎ホルモンが多すぎたり少なすぎたり、疾患は多岐にわたり症状もさまざまです。膵臓から分泌されるインスリンに関わる糖尿病も大きな意味では内分泌疾患のひとつといえます。治療法もさまざまですが、神大病院には内分泌疾患の専門医が多数いますので幅広く対応しています。また、ホルモン分泌の司令塔の役目も担っている脳下垂体にできる腫瘍は脳神経外科、副腎に異常がある場合は泌尿器科とも連携し外科手術を行うケースもあります。―他の診療科との連携は欠かせないのですね。糖尿病合併症の網膜症では眼科、腎症では腎臓内科、神経障害で足の壊疽が起きている場合は形成外科や皮膚科など、連携は欠かせません。また、糖96

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