いろいろな診療科でお話を伺うと、糖尿病があることで生じる課題をよく耳にします。糖尿病とはどんな病気なのでしょうか。原因や治療法、体全体に及ぼす影響などを廣田勇士先生にお聞きしました。―糖尿病とは?他の病気を誘発するのは何故ですか。糖尿病は血糖が高くなる病気で、血糖値を管理することなく放置してしまうといろいろな臓器に支障をきたします。それは、糖がさまざまなメカニズムによって血管にダメージを与えるからです。体の中の細い血管「細小血管」にダメージが加わると糖尿病の三大合併症と呼ばれる「網膜症」「腎症」「神経障害」が起き、また心臓や脳といった大血管にダメージが及ぶと、心筋梗塞や脳梗塞など「動脈硬化性疾患」を発症するリスクが高まります。―高血糖になる原因はどこにあるのですか。糖尿病は大きく「1型」「2型」「その他」「妊娠糖尿病」の4つに分類されます。1型糖尿病の場合、どういった原因でいつ、だれに起きるかは分かりません。一般的には膵臓でインスリンを出す働きをしているβ細胞が破壊されて起きる自己免疫疾患の一つといわれていますが、原因を特定できない特発性という場合もあります。―1型糖尿病の早期発見はできるのですか。治療法は?β細胞がどんどん壊れていく段階で発症し、血糖値が高いと気付いた時には根本的治療ができないのが現状です。治療法としてはインスリンを補充する方法を取ります。ペン型の注射器を使い食事の前に患者さん自身でインスリン製剤を注入するのが従来の方法です。神大病院では1型糖尿病治療に力を入れ、「CSII(持続皮下インスリン注入療法)」を積極的に導入しています。―患者さん自身が注射をする必要がないのですか。インスリンポンプという機器を体に装着し、食事前にはボタンを押すとインスリン製剤の必神大病院の魅力はココだ!Vol.38神戸大学医学部附属病院糖尿病・内分泌内科廣田 勇士先生に聞きました。94
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