andcarsMovie Grzegorz Czapski@shutterstockルノー・エスパス1984年に発売開始されたルノー・エスパス、ヨーロッパで初めてのミニバンとしてベストセラーになった。劇中のエスパスは5代目であり2015年から2023年まで製造された。プラットフォームは日産と共同開発、全長486cm、全幅189cm、全高168cm、1600ccのガソリンターボエンジン、ディーゼルターボ、など5種類のエンジンが用意されていた。クロスオーバー的なワゴンに仕上がっており、大型のホイールがスポーティーさを演出。美しいデザインに必要十分な動力性能、ゆとりのある室内、そしてフランスの香りを感じるエクステリア。言うまでもなく乗り心地は素晴らしく、エンジン、サスペンション、ホイールサイズも顧客の使用用途に合わせて選択できる。5ドアとはいえ洗練されたデザインは流石にルノー。芸術的なフランスの街中を走るエスパスは町並みに溶け込んでいる。残念ながら日本には正規輸入されていない。RENAULT ESPACE 映 画:『パリタクシー』 フランス 2022年登場車両:ルノー・エスパスシャルル46歳(ダニー・ブーン)はパリでタクシーの運転手をしている。1日に12時間の勤務、休みは週に1日だけ、年間12万キロを走る。タクシー(ルノー・エスパス)のリース代や燃料代などの経費は自己負担、借金の返済もままならない。免停寸前のシャルル、免停にでもなろうものなら家族(妻と娘)に会わせる顔がない。そんな彼にパリを横断する長距離の依頼が舞いこむ。依頼人はマドレーヌ92歳(マンドリン・ケラー)、住み慣れた家を離れて特別養護施設に向かうためにタクシーを呼んだのだ。仕事では不愛想なシャルルだが、マドレーヌの思い出話に耳を傾け、話し相手になることで次第に二人は打ち解けていく。マドレーヌが92年もの人生を過ごしてきたパリ、シャルルは思い出の地への寄り道を快く引き受けてタクシーを走らせる。過去の話を聞きながら、素敵な思い出の地を巡り、セーヌ川の橋の上で語り合い、ベンチで休んでアイスクリームを食べながら、徐々に笑顔を見せ始めるシャルル。パリの名所の美しさと運転席目線の映像、寛ぐ二人とパリの風景から空気が伝わってくる。夕暮れが迫り楽しい二人のドライブはもうすぐ終わる。施設から到着が遅いとクレームの電話が入るのだが、「急いで行きます」と言いながらも、シャルルは美味しいディナーをマドレーヌに提案し、二人はゆっくりと食事と会話を楽しんだ。短い時間であったがシャルルはマドレーヌから人生で大切なことを教えてもらった。1日中一緒に過ごした二人、互いに隠すことなく伝えあい、励まし、人生の機微を話しあった。シャルルは、たった一人で施設に向かうマドレーヌが可哀そうでもあり愛おしく思い、施設の前で別れを惜しむのだった。施設に送り届けたシャルルは、ドア越しに「また会いに来るから」と伝えた。1週間後、シャルルは妻と施設を尋ねるが、なんとマドレーヌは前日に心臓発作で亡くなっていた。マドレーヌが1週間過ごした部屋で泣き崩れるシャルル。素敵なドライブを思い出しながら涙が止まらなかった。後日、シャルルは妻と娘を連れてマドレーヌの墓地に出掛けた。帰りに公証人からマドレーヌからシャルル宛の手紙を受け取る。「素敵なドライブだったわ。あなたは今の世界から飛び出すことが必要よ。必ず家族3人でね!そして好きなカメラも忘れずに。シャルル、ありがとう。」手紙を読みながら泣き崩れるシャルルと家族。最後に「住み慣れた古屋を売ったら少しお金が入ったの、私には不要だけど、あなたには必要よ!」封筒の中に101万ユーロ(日本円で1億6,000万円)の小切手が入っていた。感動のラストシーン、笑いと涙、パリの美しい街並みをドライブする気分で楽しめる。それに素敵な大人のドラマ付きの91分。文・株式会社マースト 代表取締役社長 湊 善行8
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