KOBECCO(月刊神戸っ子)2024年12月号
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前回は、粒子に質量を与えるメカニズムについてお話ししました。そしてそれによって、もともとひとつだった力が、宇宙の相転移にともなって別の力に分かれていった、その「宇宙の歴史」を辿っていきました。このように、ビッグバン宇宙論は「宇宙の歴史」をうまく説明できました。しかし一方で、問題点もありました。そのままでは現在の宇宙の姿について説明できない点がいくつかあったのです。今回はその問題点についてお話ししましょう。最初に、宇宙の空間がどのような形をしているのか、についてです。宇宙空間は三次元ですが、三次元の空間について考えるのは難しいので、まず二次元で考えてみましょう。二次元とは、面の世界です。面と言ってもさまざまで、もっとも単純な平面から、複雑なカーヴを描く曲面まであります。たとえば我々が暮らしてい多田先生!素粒子物理学者の   宇宙物理学教室教えて 連載〜第18回〜 地平線問題自然界で最も大きな存在が宇宙、そして最も小さな存在が素粒子と考えられている。素粒子を研究することで、宇宙のはじまり、人間の存在を解明する︱︱ 日本の誇りをかけて、その最前線で日々研究に打ち込む素粒子物理学者・多田将先生。この連載で謎に包まれた宇宙について多田先生に教えていただきます。さあ、授業のはじまりです!66

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