KOBECCO(月刊神戸っ子)2024年12月号
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たでしょうか。ますますわからなくなったんじゃないでしょうか。これは頭で理解しようとするとわかりません。禅はこんな単純なものではないですが、面白い世界です。物事の見方をガラッと変えてくれます。われわれの生活は、どうでもいいことが実に多いのです。どうでもいいことにあれ子は確かに美しいかもしれないが、それは理屈なんです。雲水は理屈よりも掃くという行為が重要だというのです。キレイかきたないかは関係ない。ここでは掃くという行為、つまり作務という行為が必要です。それが事実です。だから事実として認めることが必要なのです。田中さん、おわかりいただけ横尾忠則現代美術館美術家 横尾 忠則1936年兵庫県生まれ。ニューヨーク近代美術館、パリのカルティエ財団現代美術館など世界各国で個展を開催。旭日小綬章、朝日賞、高松宮殿下記念世界文化賞、東京都名誉都民顕彰、日本芸術院会員。著書に小説『ぶるうらんど』(泉鏡花文学賞)、『言葉を離れる』(講談社エッセイ賞)、小説『原郷の森』ほか多数。2023年文化功労者に選ばれる。『レクイエム 猫と肖像と一人の画家』 2024年9月14日(土)~12月15日(日)横尾忠則現代美術館(神戸市灘区)にて。これ理由をつけて、いいとか悪いとか言っているのです。いいも悪いもそんなものは本来ないのです。どうでもいいことの大海の中で、われわれは、ああでもないこうでもないとやっているのです。浜松 竜泉寺にて(1976年)19

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