KOBECCO(月刊神戸っ子)2024年11月号
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た部分を高周波などで切除したり、ステントを入れ空気の通り道を確保したりします。肺に穴が開く難治性の気胸では、シリコンの詰め物(EWS)を留置したりします。気道に誤嚥した異物を取り出したりもします。歯、歯冠、ピーナッツ、魚の骨などなんでも取ります。―肺がんは予防できますか。肺がんの原因は喫煙とは限りませんが、喫煙されているなら「禁煙」が自分のできる一番の予防策です。また、喫煙は呼吸器疾患の元凶になっているのは確かです。禁煙はすぐに始められる予防法です。神大病院呼吸器内科にも禁煙外来を開設していますので、ぜひ利用して禁煙に挑戦していただきたいと思います。また「たばこを吸わないから肺がんにはならない」と安心しないで、健康診断で一年に一回の胸部レントゲン検査はきちんと受けてほしいと思います。立原先生にしつもんQ.立原先生はなぜ医学の道を志されたのですか。A.私の出身校・賢明女子学院ではボランティア活動に力を入れています。高校1年の時、西成区釜ヶ崎で、炊き出しをしたり毛布を配ったりする越冬パトロールに参加して、いろんな人生を背負った方々からお話を聞きました。それまで、将来は「学校の先生がいいかなあ」などと思っていましたが、人生を大きく変えてしまうような病気という出来事が起きた時に向き合い、どの年代の方のお役にも立てる人生に寄り添う「医師になりたい」と思うようになりました。Q.リフレッシュ法はありますか。A.ずっと仕事のことと家庭のことを考えているので、精神的にどちらからも離れて、考えを手放させる時間が作れるホットヨガをやっています。そう言いながらも、やっぱり何かを考えてしまって〝無〟になるのは難しいのですが(笑)。同じ理由で、好きなワインを飲むこともリフレッシュ法です。Q.病院で患者さんに接するにあたって心掛けておられることは?A.自分がやろうとしていることが患者さんにとって本当にベストな方法なのかを常に問うことです。患者さん、特に高齢でがんが見つかった場合は、検査をするのか、治療を進めるのか、何もしないのかなどを、患者さんを中心にそのご家族ともコミュニケーションをしっかり取りながら方針を決めることが大切です。呼吸器内科全体をまとめる立場として、安全・安心、かつ最先端の治療を提供し、自分の家族が病気になった際に受診させたいと思えるような診療科にしたいと思っています。Q.大学で学生さんたちを指導するにあたって心掛けておられることは?A.呼吸器内科の患者さんはすごく多いのに対して、専門医はすごく少なくて足りていないのが現状です。何よりまず、私自身含め医局員が楽しく、やりがいを持って仕事をしている姿を見てもらって、若い学生さんたちに呼吸器疾患に対する興味を持ってもらえるような教育をしたいと思っています。Q.呼吸器内科を専門にされた理由は?A.今でこそ呼吸器内科分野というものがありますが、私が医学部生ころには独立していないことが多く、卒業の時に出身校の福島県立医科大学に呼吸器内科が開設されることになりました。まだよく分からない分野だからこそ面白いかなと見学に行くと、喘息、COPD、肺がんなどいろいろな病気の患者さんがおられ、気管支鏡の手技も目にしてワクワクし、突き詰めてみようと思い選択しました。87

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