KOBECCO(月刊神戸っ子)2024年11月号
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─これらの課題解決にはどのような方向性がありますか。川﨑 地域医療連携法人制度を活用すれば、地域を支える医療に関係する事業所が一つの法人となるのでこの問題は解決しますが、やはり開業医は自身の診療所を独自に運営していきたいという思いがあるので、現実的にはなかなかそうもいきません。一番大きな課題は診療報酬の算定ですので、連携型の機能強化型在宅支援診療所に対しての保険診療上の位置づけをもう少し明確にして、連携している診療所間であれば初回訪問であっても訪問診療として算定可能とする、看取りに行った医師に対する評価として適切な診療報酬を設定するなど在宅診療点数をしっかり算定できる仕組みを確立することが必要ではないでしょうか。それが、これからの地域医療体制を支えることに結びつくと思います。有・調整することで旅行などに行きやすくなりますし、連携する医師が多いほどその自由度も高くなります。─逆に課題はありますか。川﨑 まず、連携にあたっては看取りを含めたACP(アドバンスケアプランニング=患者の将来の医療やケアについての意思決定プロセス)をしっかりとおこなうことがトラブル防止のためにも必要です。また、診療所間で担当している患者数の違いが大きいと調整が大変で、大きな医療機関では結局内部で担当を決めていく必要がありますし、施設からの連絡が結構煩雑だったりします。そして、例えば連携している先生に自院の患者さんの看取りをお願いすると往診での対応となるので、それまでの在宅ターミナルケア加算や看取り加算の算定が難しいといった課題があります。開業医はそれぞれ独立しているので、往診対応した時点で医療機関が別となると、保険診療の継続性がわかりにくい、つまりレセプトに反映しにくいのです。─連携型の機能強化型在宅療養支援診療所にはどんなメリットがありますか。川﨑 週末や休日でも医師の誰かが地域にいますし、どの先生が来るか伝えることができるので患者さんも安心です。医師もお互いのスケジュールを共(表2)往診料加算点数の違い83

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