KOBECCO(月刊神戸っ子)2024年11月号
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す。それをそうじゃないと決めつけるのはその人自身なのです。ある有名な、僕のかつての知人は、フランス料理しか食べないという人で、同じ嗜好の仲間で、フランス料理を食べる会なんて作っていました。その1人と海外に旅行した時、皆と同じテーブルにつきながら、この人は共通の料理に手をつけずにコーヒーだけを飲んでいました。この人は極端ですが、あなたの周囲にもこのような頑固な人はいませんてしまったのです。とにかく型にはめないと生きにくいという人がいます。その、はめた型の中で行動する。まあ、それも悪くはないでしょうが、型からはみ出すことを自らがブロックしているので、そこからはみ出すのが怖いんだと思います。意外と、こういう人は結構多いのではないのでしょうか。話を最初に戻しますが、河合隼雄先生がおっしゃったように、人間は元々複数的存在なので横尾忠則現代美術館美術家 横尾 忠則1936年兵庫県生まれ。ニューヨーク近代美術館、パリのカルティエ財団現代美術館など世界各国で個展を開催。旭日小綬章、朝日賞、高松宮殿下記念世界文化賞、東京都名誉都民顕彰、日本芸術院会員。著書に小説『ぶるうらんど』(泉鏡花文学賞)、『言葉を離れる』(講談社エッセイ賞)、小説『原郷の森』ほか多数。2023年文化功労者に選ばれる。『レクイエム 猫と肖像と一人の画家』 2024年9月14日(土)~12月15日(日) 横尾忠則現代美術館(神戸市灘区)にて。か。こういう不自由な生き方をする人には、同じような人が集まって、変な組織を作っていたりします。上手く伝わったかどうか余り自信はありませんが、僕は別にこの道の専門家ではありませんので、河合先生が生きておられたら、もっと専門的で高度なお話が聞けたかと思います。大変残念です。「レクイエム 猫と肖像と一人の画家」ポスター・筆者作、写真・篠山紀信15

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