KOBECCO(月刊神戸っ子)2024年10月号
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録音時は集中力の持続を心掛けます 連載コラム 「球きゅうゆうさいかい友再会」   文・写真/岡力<コラムニスト> あの日あの頃、いつの時代も白球のそばにはドラマがある。このコーナーでは京阪神の野球にまつわる様々なエピソードをご紹介します。Vol.12 白球を追いかける姿に思いを馳せて歌う「球児の皆さんを精一杯応援します」 声楽家 滝川千春さん今年8月に開場100周年を迎えた『阪神甲子園球場』。地方大会を勝ち抜き、憧れの地で熱戦を繰り広げる「全国高等学校野球選手権大会」は夏の風物詩となっている。試合終了を告げるサイレンと共に勝利チームの栄誉を称え校歌を斉唱する感動のシーンを長きに渡り支えるのは声楽家の滝川千春さん。小学生時代に父親の影響で聞き始めたクラシックレコードが音楽との出会いだった。音大生時代からTV・ラジオCM等の録音の仕事に携わり19年前に校歌録音の依頼を受けた。「延べにすると400~450校くらいになります。初見で歌うのでメロディーと歌詞の読み込み速度が必要となります。歌詞には所在地の風景を盛り込んだ部分が必ずありますので、自分の生まれ育った場所や風景に移し替えてイメージを作り上げています。まれにポップス調の曲がありビート感、リズムのノリを出すのが難しいですね」。現在、聖地からほど近い場所にある大阪芸術大学短期大学部(伊丹キャンパス)の特任教授として忙しい毎日を送る滝川さん。「発声の普遍的な部分を理解し追及することを学んで欲しい」と個性を重んじた指導で音楽業界を担う後進の育成にも力を注ぐ。「球児のひたむきに白球を追いかける姿には高校野球ファンならずとも胸を打たれます。仲間と共に夢を追いかけ、勝利を目指し、夢を手にするために戦う姿に拍手です」とスタジオからエールを送る。91

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