KOBECCO(月刊神戸っ子)2024年10月号
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不要品を活かす障がい者の福祉工場愛の手運動は親に育てられない子どもたちに、里親・養親を求める運動です。募金箱の設置にご協力いただける方は協会にご連絡ください。公益社団法人 家庭養護促進協会 神戸事務所神戸市中央区橘通3-4-1 神戸市総合福祉センター2FTEL.078-341-5046 https://ainote-kobe.orgE-MAIL:ainote@kjd.biglobe.ne.jp シアトルの町を歩いていると「Goodwill industries」と描かれた高さ1.8メートル、幅1.6メートルぐらいの丸いドラム缶のような容器が街角のあちこちに置かれているのに気がつきました。この入れ物には郵便ポストのように投入口があり、家庭で不要になった物で手を加えれば十分使えそうな物、あるいは寄付をしたいような物品が投入され、毎日定期的にトラックで集められて福祉工場へと運ばれるのです。洗濯機や冷蔵庫、家具類などの大きな物は自宅まで受取りに来てもらえます。 この工場ではさまざまな障がいのある人たちが働いており、運ばれてきた物品を仕分けし、修繕したり造り直ししたりして販売されます。工場を訪問すると、作業部と販売部に別れており、街中から寄付された中古品は種類ごとに分類され、販売部に送られて再販売されます。さながら中古品のデパートのような感じでした。日本で言えばリサイクル品やバザー品の常設販売所のようなところです。工場内には職業訓練室、リハビリテーション室、カウンセリングルーム、診察室、礼拝堂などもありました。家庭の不要品や中古品を寄付することによって、障がいのある人たちの雇用を生み出し、品物を再利用するというアイデアはおもしろいと思いましたが、運営は楽ではないようでした。ショッピングに来ている人たちは低所得者層の人たちが多いように見えました。 ここでもらったパンフレットに「私たちは障がいがあるけれども、慈善や公的扶助を受けるのではなく、自分で自分の生活を支え、税金を納める生産的な市民であり、責任ある人間でありたい」と謳われているように、障がいがあっても、人間としての当然の権利を主張し、市民としての義務を遂行することによって自分自身を高めていきたい、という建設的な姿勢が感じられました。2時間あまりの見学を終えて工場を出るとき、頭上の看板に「おいでいただきありがとうございました。あなたのお買い物が障がい者に410種類以上の仕事を与えています」と書かれていました。出会いと学びの旅から公益社団法人家庭養護促進協会事務局長橋本 明Vol.1090

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