KOBECCO(月刊神戸っ子)2024年10月号
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とり方など準備することがあり、薬剤師や栄養士と相談しながら患者さんが最も良い状態で手術を受けられるようにします。―術中、術前・術後、集中治療などいろいろな役割を担っているのですね。大きく分けると麻酔、集中治療、神経ブロックや薬物療法を中心にしたペインクリニックという3つの役割が麻酔科にはあり、手術以外のいろいろな場面でも患者さんの痛みをやわらげたり、体の状態を正常に保ったりする役割を担い治療に貢献するのが麻酔科です。広い知識や経験を持った上で専門分野を持つというのが神戸大学麻酔科の教育方針ですので、単に「麻酔ができる」というだけでは通用しません。専門の先生方と積極的に協力しながらあらゆる局面に対応できる麻酔科医を育成するのが神大病院麻酔科です。小幡先生にしつもんQ.小幡先生はなぜ医学の道を志されたのですか。A.苦労人だった父が「お前は医者になれ」と言っていました。医者の家系でもないのに「何を言ってるんだ?」と思って当時は気にもかけていなかったのですが、いくつかの小さな出会いを積み重ねて高校生のころには医学部という選択肢も考えるようになりました。今思えば、根底には父の言葉があったのかもしれません。Q.ご自身のリフレッシュ法は?A.特別なことはないんですが、スポーツ観戦は好きですね。今(8月6日)はパリオリンピック観戦で忙しいし、これから高校野球が始まったらもっと忙しくなります(笑)。Q.大学で学生さんたちと接するにあたって大事にしておられることは?A.近い将来、自分に与えられるであろう医師免許というものの重みを感じて、医師がやっていることの理由を常に考えてほしいと思います。この薬をこれだけの量で使うとどういう機序でどんなことが起きるのか、何か副作用が起きたらどう対処をするのか…そこまで知っている人だけが薬を使う権利を持つということだけは絶対に知っておいてほしいと話しています。Q.病院で患者さんと接するにあたって心掛けておられることは?を完全に治すことなのか、治療効果は低くてもその後の生活の質が大切なのか、中には手術は望んでいない患者さんもおられるかもしれません。麻酔科医が患者さんと直接お話しをする限られた時間の中でいかに患者さんの思いを把握できるかをいつも課題にしています。Q.麻酔科を専門にされた理由は?A.これは医学部での出会いです。私が医学部生のころは卒業したらすぐに専門を決めなくてはならず、でも特に希望もなくてどうしたらいいのか分からない、そんなときに親身になって相談にのってくださったのが麻酔科の先生でした。A.同じ病気で同じ手術を受ける患者さんでも望むところや大事にしておられることはそれぞれに違います。病気89

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