KOBECCO(月刊神戸っ子)2024年10月号
87/124

ることは難しく、患者さんが動くと手術がやりにくくなります。例えばあえて呼吸を止めるというように、外科医が手術のパフォーマンスを最大限に発揮できる環境を作ることも麻酔科医の役割のひとつです。また、ある程度短時間の手術ならば理論上は局所麻酔で可能ですが、手術室という普段とは全く違う空間で、患者さんが通常と同じ意識を保ったままで精神的に耐えられるかという問題もあります。―胸腔鏡・腹腔鏡手術やロボット支援手術のように「低侵襲」といわれる手術でも全身麻酔は必要なのですか。小さな創きずで負担が軽く、術後の回復が早い手術は患者さんにとって低侵襲といえます。しかし術中も低侵襲かとはいえば必ずしもそうではなく、例えばガスでお腹を膨らませ続ける腹腔鏡手術の痛みは意識を持ったままで耐えられるものではありません。この術式のいろいろな特性をクリアするために開胸・開腹手術とは違う管理も必要になってきます。87

元のページ  ../index.html#87

このブックを見る