KOBECCO(月刊神戸っ子)2024年10月号
82/124

兵庫県医師会の「みんなの医療社会学」 第158回─コロナ禍初期は、発熱患者が医療機関にアクセスするのも難しかったと記憶していますが、その要因は何でしたか。面も否定できません。─コロナ禍の初期、まだ情報が十分でない中で、かかりつけ医にはどんな役割が求められていましたか。飯山 まずは診察、診断、治療が求められましたが、医療者には診断や治療法はおろか、ウイルスの本質についてすら十分な情報が提供されておらず、マスク、手袋、アイガードなどの防護具(PPE)も不足して感染対策もままならない状態でした。そんな中でも増え続ける患者さんを前に使命感を持って診察にあたった医師の中には、残念ながら自らも感染して命を落とされた先生もいらっしゃいました。結果的に新型感染症に対して、医療制度も公衆衛生も防備が脆弱だったと言わざるを得ませんよね。─「かかりつけ医」というワードが言われ出したのは、いわゆるコロナ禍の頃のような気がしますがいかがですか。飯山 確かに患者のみなさまにとって「かかりつけ医」という言葉が一般的になったのは、新型コロナ感染症への対応の場面だったかもしれませんね。ですがそれまであまり一般的に使われていない言葉でしたのでその定義があいまいで、患者側と医療者側で解釈の違いもあったように思われます(図1)。また、発熱患者の診察やワクチン接種に関して、急に「かかりつけ医」という言葉が多用されるようになったことで、内科や小児科をはじめとする地域の診療所に問い合わせが殺到したことが医療現場の混乱の一因になった新興感染症パンデミックとかかりつけ医について兵庫県医師会 前医政研究委員会委員飯山内科クリニック 院長飯山 佳英子 先生・なんでも相談できる医師・いつでも診てもらえる医療機関・かかったことがある医療機関・いろんな科のかかりつけ医がある・定期的に通院している患者・定期的に健康診断を受けている患者・かかりつけ医は1人患者側の思うかかりつけ医医療者側の思うかかりつけ患者ミスマッチ≠(図1)「かかりつけ医」のとらえ方の違い82

元のページ  ../index.html#82

このブックを見る