KOBECCO(月刊神戸っ子)2024年10月号
65/124

力の一覧 重力 弱い力 電磁力 強い力 チャージ 質量 1種類 弱荷 電荷 2種類 色荷 3種類 媒介粒子 重力子 (グラビトン) ウィーク ボゾン 光子 (フォトン) 膠着子 (グルーオン) 力の大きさ 10-39 10-5 10-2 1 作用距離 無限 10-18m 無限 10-15m 提唱年 1665 1933 1864 1935 提唱者 アイザック=ニュートン卿 エンリコ= フェルミ ジェイムズ= クラーク= マクスウェル 湯川秀樹 クォークを別のクォークに変える力です。たとえば、中性子は、原子核の外では、一五分の寿命で陽子と電子と反電子ニュートリノに壊れます。このとき、中性子の中のダウンクォークのひとつがアップクォークに変化することで、中性子全体としては陽子に姿を変えています。この変化を起こす力が弱い力です。表のもうひとつの欄である「媒介粒子」は、「力を伝達する粒子」のことです。力というものは、離れたもの同士に、いきなり伝わったりしません。必ずこの媒介粒子をやりとりすることで力を伝えるのです。たとえば電磁力は、光子(フォトン、光)を投げることで相手に力を伝えます。相手から見れば、光子を受け取ることで力を受けます。ほかの力も、表に書いたそれぞれの媒介粒子をキャッチボールすることで力を伝えているのです。この媒介粒子をキャッチできるかどうかの能力を示す量が、さきほどの荷量なのです。です。これらは、電磁力より強いか弱いかで表現していて、その力の本質を表わしていないので、これまたよい言葉ではありません。物理学者にはこういういい加減な面もあるのです。強い力とは、陽子や中性子を繋ぎ合わせて、原子核を形成している力です。陽子同士が電磁力によって反発する力を抑えているわけですから、電磁力より強いのです。強い力は、色荷というものにかかり、これは、陽子や中性子(正確にはそれを構成するクォーク)が持つ荷量ですが、電子やニュートリノなどにはありません。色荷には三種類あります。弱い力とは、他の力とはずいぶん違って、「強い力」「弱い力」というのは一般用語のような響きをしているので、これを物理学用語にそのまま採用してしまったのはいいことではありません。「強い力」は正確には「強い相互作用」で、「strong interaction」の直訳です。同様に「弱い力」は「弱い相互作用」、「weak interaction」の直訳65

元のページ  ../index.html#65

このブックを見る