KOBECCO(月刊神戸っ子)2024年10月号
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多田先生!素粒子物理学者の   宇宙物理学教室教えて 自然界で最も大きな存在が宇宙、そして最も小さな存在が素粒子と考えられている。素粒子を研究することで、宇宙のはじまり、人間の存在を解明する︱︱ 日本の誇りをかけて、その最前線で日々研究に打ち込む素粒子物理学者・多田将先生。この連載で謎に包まれた宇宙について多田先生に教えていただきます。さあ、授業のはじまりです!前回は、宇宙年表を現在から過去に向かって遡っていきました。そこで、「力の誕生」なるできごとが登場しました。力が生まれるとはどういうことでしょうか。みなさんは中学校で「抗力」「張力」「摩擦力」などなど、いろいろな力を学んだかも知れません。しかし、「その力の源は?」と突き詰めていくと、結局、この世に存在している力は四種類しかないのです。それは、「重力」「電磁力」「強い力」「弱い力」です。しかも、後ろ二つは原子核の大きさの世界でしか働かないので、我々が体感する力は、重力と電磁力だけなのです。抗力や張力や摩擦力は、原子同士の働く電磁力が、巨視的にそう見えているに過ぎません。表に、この四つの力をまとめました。ここに「チャージ(荷量)」という欄があります。これは、その力が作用する物理量です。と言ってもわかりにくいでしょうから、具体的に見ていくと、たとえば重力のチャージは質量です。つまり、重力は質量のあるものにかかり、その大きさは質量に比例します(相対性理論的には少し異なりますが、ここでは置いておきます)。電磁力のチャージは電荷で、電荷量に比例した力がかかります。電荷のないものには電磁力はかかりません。そして、電荷には、正負の二種類があります。連載〜第16回〜 四つの力64

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