KOBECCO(月刊神戸っ子)2024年10月号
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劇伴の作り方について聞くと、「依頼時には、まだ映像は完成していません。原作や脚本を読み込みながらイメージしていきます」翌2002年には『阿弥陀堂だより』(小泉堯史監督)の劇伴を手掛け、日本アカデミー賞優秀音楽賞を受賞した。「小泉監督は具体的にどんな曲にしてほしいかを言わないんですよ。そういうときはこちらからいろいろと聞き出します。質問していて相手の目が輝く瞬間がある。その輝きから判断するのです」小泉監督は「風」という言葉に目を輝かせたという。「これはパンフルート(木管楽器)の世界観だ…」直感的に、すぐに民族楽器の一つ「パンフルート」が頭に浮かんだのだという。映画やCMとともに、加古はテレビ番組の劇伴も数多く手掛けている。その代表作のひとつといえば、今回のツアーでも披露する、NHKのドキュメンタリー『映像の世紀』のテーマ曲『パリは燃えているか』。1995年に発表されて以来、バージョンを変えながら、今も『映像の世紀 バタフライエフェクト』の中で流れ続けている不朽の名曲だ。この劇伴依頼の秘話を一つ。「NHKから番組のコンセプトを説明され、プロデューサーから100曲ぐらい作曲してほしい」。そう言われた加古は本当に100曲作って提出したという。するとこのプロデューサーは「ふつう、作曲家は10曲くらいを提出してくるのですが」と驚かれた。〝音楽の詩人〟からあふれ出す音は無限大なのだ。ジャズから交響曲、そして宮沢賢治まで軽々とジャンルを超えながら…。「演奏も作曲も、まだまだこれからです」。創作の源泉はまだ尽き果てることはない。『銀河の旅びと~宮沢賢治と私~』Takashi KAKO Concert2024■日時 2024年11月4日(月・祝) 15:00■会場 住友生命いずみホール詳しくはコチラ22

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