「世界最古の演劇」と称される、日本の伝統芸能「能」を気軽に触れることができる場所がある。平成29年、演目「高砂」の中にも地名が出てくる鳴尾の地に完成した『西宮能楽堂』。近代的なコンクリート建築の外観、神々しい檜造りの能舞台にはプロジェクターが完備されており公演内容や解説が鮮明に映し出される。「どんなものなのか?」と興味のある方にはワークショップも開催されており、白足袋を履いての「すり足」をはじめ「能面付け」、「装束付け」、「囃子楽器」といった体験で知識を深めることができる。また貸館も行っており、お稽古や発表会などで利用することも可能だ。「文教地区である西宮で能を根付かせたい」と語る代表理事の梅若基徳さんは中世より代々続く梅若家に生まれ、3歳より舞台活動を始める。重要無形文化財総合指定保持者としてイタリア、フランス、オランダなど世界各国で公演を開催。2014年にはメイフラワー号の奇跡を題材にした新曲「五月花(メイフラワー)」を書きおろし、現地で演能したことにより「ロサンゼルス名誉市民」として称えられている。「700年に渡り口頭伝承することで演じる人間のオリジナリティが出るのも魅力の一つです。私の新曲もいずれは古典になっていきます。世界に通じる演劇として評価を高めていきたい」と熱い思いを胸に日本の伝統を紡ぐ挑戦は続く。第129回多くの方に知ってもらい、触れてほしい『西宮能楽堂』代表理事・梅若基徳さん神戸のカクシボタンkakushi button写真/文 岡 力「敷居は高くありません、気軽にお越しください」と笑う梅若基徳さん一般の方を招いてのワークショップ■平林会館 西宮能楽堂兵庫県西宮市鳴尾町3-6-20【電】0798-48-5570■岡力(おか りき)コラムニスト・放送作家ふるさとが神戸市垂水区。関西の大衆文化をテーマとした執筆・テレビ、ラジオ番組を企画。日本放送作家協会関西支部事務局長。大阪芸術大学短期大学部(伊丹学舎)、神戸電子専門学校 非常勤講師。99
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