KOBECCO(月刊神戸っ子)2024年9月号
97/136

ですね。膀胱がんに限定して言えば、喫煙との因果関係はデータ上でもかなり明らかになっているので、禁煙はすぐにできる予防法の一つです。―自覚症状や早期発見の方法はありますか。腎臓や前立腺は症状が出にくいがんで、症状が出たらかなり進行した状態です。膀胱がんでは血尿が出たらすぐ受診してください。検診の尿検査で潜血反応があり膀胱がんが発見されたり、検診のオプション項目の腹部超音波検査で腎臓がんが発見されたり、腫瘍マーカーで前立腺がんが発見されたりするケースがあります。他の病気の疑いがあってCT検査を受けたところ、泌尿器系のがんが見つかったというケースも多くあります。定期的にCT検査を受ける機会があれば早期発見につながると思います。三宅先生にしつもんQ.三宅先生はなぜ医療の道を志されたのですか。A.中高が進学校で文系科目が苦手で、周りに医学部志望者が多く、つられて受けたようなものです。特別に高尚な理由などなくて(笑)、でも今はすごくやりがいが感じられるこの仕事を生業(なりわい)にできたことは良かったと思っています。Q.ご自身の健康法やリフレッシュ法は?A.自分では体力はあると思っているので特に健康のためにやっていることはないですね。リフレッシュは旅行です。海外から近場の温泉まで合間を見つけて出かけています。Q.大学で学生さんに接するに当たって心掛けておられることは?A.教科書を読んで分かることは学生が自分で学べばよいことですが、現場を見ないと分からないこともたくさんあります。そこで、手術見学などできるだけ実体験を重視した教育を充実させたいと思っています。Q.病院で患者さんと接するに当たって心掛けておられることは?A.患者さんに対して優しく、分かりやすく、気持ちよく治療を受けていただくという当たり前のことは大前提とした上で、患者さんに良い治療を享受してもらって「病気を治す」ということに対して結果を出すことが最も重要と思っています。Q.泌尿器科を専門にされた理由は?A.神戸大学腎泌尿器科の雰囲気がとても良かったので、何の迷いもなく選びました。全国的に見てもハイレベルな治療で高い評価を受け、歴代教授の先生方が日本泌尿器科学会で大きな役割も果たしています。誇りを持って仕事ができ、選択に間違いはなかったと思っています。また、私が入ったころは腹腔鏡手術もまだないころでしたがそれでも開腹手術や内視鏡手術といった外科治療の選択肢が多く、その上、薬物療法のような内科的治療も実践できて、泌尿器科医は出来ることの範囲がとても広いという理由もありました。97

元のページ  ../index.html#97

このブックを見る