KOBECCO(月刊神戸っ子)2024年9月号
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体の中の余分な水分を外に出すために働いている泌尿器関連臓器にも、他の臓器と同じく悪性腫瘍(がん)ができてしまいます。最先端のロボット手術や薬物療法など高度な医療で全国的にも高い治療実績をもつ神大病院泌尿器科の三宅秀明先生に伺いました。―泌尿器科の領域は?一つは男女問わず「尿路」が領域です。腎臓で老廃物を濾し取って尿が作られます。ここから腎盂にしみ出していき尿管へと送られ、膀胱を経て尿道から排泄されます。腎臓については腎臓内科と役割を分担しています。神大病院泌尿器科では、主にがんに対する外科手術、腎移植手術、さらには化学療法や免疫療法などの薬物療法なども積極的に担当しています。もう一つの領域は「生殖器」です。女性の場合は産婦人科の領域ですので男性に限り、前立腺や精巣、陰茎などが該当します。―泌尿器の領域にはいくつもの臓器が含まれるのですね。がんはどの場所にできて、それぞれ性質や治療法が違うのですか。がんは人間の体のあらゆる部位にできるので、全ての泌尿器関連臓器にもできます。一連の管腔臓器である腎盂、尿管、膀胱は同じ上皮に覆われていて、がんの性質も同じです。実質臓器の腎臓がんは異なる性質を持っています。免疫が関係していることが分かっている腎臓がんは免疫療法が治療の中心を占め、膀胱がんには一般的な抗がん剤治療も効果があります。本庶佑先生がノーベル賞を取られた免疫に関する研究を基に開発された新しい治療薬によって、それまでの腎臓がんの免疫療法とは一線を画すほど治療効果が高まり、膀胱がんでも取り入れられるようになっています。前立腺にできたがんは男性ホルモンに依存して成長します。ホルモンをブロックする治療法の効果が高い神大病院の魅力はココだ!Vol.35神戸大学医学部附属病院泌尿器科三宅 秀明先生に聞きました。94

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