KOBECCO(月刊神戸っ子)2024年9月号
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124358月7日、姫路を出発し、丹波へと向かう。この日の目的は丹波立杭焼だ。丹波立杭焼の起源は約850年前までさかのぼる。主に生活雑器を焼いてきた。訪れたのは市野伝市窯。案内してくれた窯元の市野達也さんは9代目。息子さんが10代目を継いでいる。8代目であった父の代に山野草専門の鉢を日本で初めて作った。以来60年、植木鉢を専門に作陶している。父の教えは「山の代わりをするモノを作れ」。高山植物の鉢は、その植物が育つ環境の特殊性から、通気性が重要になり、選び方を間違えると育たない。草花にあった植木鉢があることを知らない人は多く、デザイナーらも驚いていた。まさに世間には余り知られていない、受け継がれた高い技術のなせる技である。近年は、多肉植物などが人気でインテリアとして注目され、取引先も園芸関係から、ファッション関係にも広がっている。工房内で実物を手にとりながら、丹波の土の特性や独自性を出すための工夫、色鮮やかに焼き上げる釉薬のこと、どのような受注体制で仕事を受けるのか、大量注文があった時の対処方法など、細かな質問が投げかけられた。丹波立杭焼台湾デザイン研究院×インテリアとして注目され、園芸やファッションとしても広がる丹波立杭焼市野伝市窯1自然豊かな山道を上り市野伝市窯へ 2「約850年前から生活雑器として作られてきた」と市野さん 3窯元の市野さんは9代目 4丹波の土の特性を入念に観察するデザイナーたち 5軒先に並べられた陶器の数々。その種類の多さに驚かされる8/766

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