KOBECCO(月刊神戸っ子)2024年9月号
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12345123会員の中に伝統工芸を守ろうとしている女性がいる。豊岡杞柳細工作家の山本香織さんだ。杞柳細工の美しさに惚れ、後継者育成教室に応募してから10年になる。杞柳細工による鞄「柳行李」は、豊岡鞄の原点だ。原料となる柳が手に入りにくいこともあり、自ら育てている。台湾では竹細工が多く、今回参加したデザイナーらも興味があるようで、さまざまな質問が飛び交った。伝統を守りたい思いに国境はない。お互いの文化が交わるところに、新たな世界への広がりがある。そう感じられる1日だった。カバンストリートにショップを構えている「Maison Def(メゾン デフ)」のオーナー下村浩平さんは、豊岡のカバンづくりに魅せられ、福岡から移住した。市内のファクトリーでものづくりを学び、2017年にMaison Defを創業、2020年に現在のショップをオープン。ものづくりの中で必要不可欠とされる「糸」を一切使わないという制約を課し、手打ちのリベットにより製作される人気の「rivet bag」シリーズは、豊富な素材のラインナップから選び、自分だけのバッグを仕立てることが可能。幅広いカスタム性に加え、強度やリペア性にも優れている。2022年には、クリエイターの自由な創作活動と販売を支援するコワーキングアトリエ「Apartment」を創業。2階と3階が製作のためのアトリエやライブラリ、1階は製作した作品を販売するショップとなっており、施設内で行われるイベントを通じてものづくりの流れを体得しながら、クリエイターとして生計を立てることをひとつのゴールとしている。かばんの街・豊岡におけるクリエイターへの支援環境を充実させたいという自身の経験や思いから生まれたこの施設には、ものづくりへの情熱を持ったメンバーが全国から集まっている。伝統を守りたい思いに国境はないMaison Def(メゾン デフ)1神戸レザーを使用した「rivet bag」 2カバンストリートにショップを構えるMaison Def 3糸を使用していないためほつれることがなく、頑丈 4Maison Defと同じ通りに面するApartmentには、ここでしか手に入らない作品たちが並ぶ 5オーナーの下村浩平さんは自身の作品製作の傍ら、クリエイターの支援に力を注ぐ1「Apartment」2階で創作活動を行う2杞柳細工の美しさに惚れ、この道を選んだと山本香織さん 3昨年の「ひょうご国」プロジェクトで、神戸レザーと播州織ともコラボした商品豊岡杞柳細工65

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