KOBECCO(月刊神戸っ子)2024年9月号
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12348月6日、姫路駅南口のロータリーから貸切バスで兵庫県の北部、豊岡市へと向かう。豊岡市は日本有数の鞄の産地である。その歴史は、1000年前の柳行李(ヤナギコオリ)から始まったとされ、素材が革や布に変わる中でも鞄を作り続けてきた。大手メーカーのOEM生産が中心だったが、2006年に「豊岡鞄」としてブランド化、2014年にカバンを核とする街づくりや人材育成に取り組み、ブランド力強化と販路拡大に力を入れている。「豊岡鞄」を名乗れるのは、兵庫県鞄工業組合が定めた基準を満たす企業によって生産され、品質を守るための厳しい審査に合格したものだけ。国内中心に普及を目指してきたがコロナ禍明けあたりからは、アジア圏を中心に豊岡鞄を目当てに訪れる訪日客が増えるなど注目を浴び始めている。この日の目的は豊岡のかばん。初めに訪れたのは株式会社モリタ。1987年に鞄の“持ち手”を作るパーツ専門メーカーとして創業。現在では鞄製造全般を手掛けている。持ち手部分に至っては現在でも、その美しさや丈夫さなどに定評があり、大手ブランドメーカーにOEM提供するなど国内トップレベルの技術力を誇る企業だ。訪れたデザイナーたちも興味津々で、次から次へと質問を投げかける。素材やデザインについてはもちろん、コスト面やSDGsについて、台湾からサンプルとして持参したバッグを見ながらの素材加工などについて意見交換が行われた。豊岡のかばん台湾デザイン研究院×豊岡鞄を目当てに訪れる訪日客が増えている株式会社モリタ1大手ブランドメーカーにOEM提供するなど国内トップレベルの技術力を誇る 2熟練の技によって、美しくて丈夫な取っ手が出来るまでの工程を見学 3手に取って品質の高さを確かめる 4持ち手を研磨して滑らかな手触りに仕上げる8/662

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