KOBECCO(月刊神戸っ子)2024年9月号
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多田先生!素粒子物理学者の   宇宙物理学教室教えて 自然界で最も大きな存在が宇宙、そして最も小さな存在が素粒子と考えられている。素粒子を研究することで、宇宙のはじまり、人間の存在を解明する︱︱ 日本の誇りをかけて、その最前線で日々研究に打ち込む素粒子物理学者・多田将先生。この連載で謎に包まれた宇宙について多田先生に教えていただきます。さあ、授業のはじまりです!前回は、宇宙の初期に起こったビッグバンの名残りとしての宇宙背景輻射についてお話ししました。そこでは、相転移の話もしました。今回は、宇宙の初期に起こったそれ以外の相転移についてお話しします。最初に宇宙年表をご覧いただきましょう。時間は上から下へと流れます。時間の横には、それに対応する温度も書いてあります。第12回で宇宙は時間とともに広がっていること、第13回でエネルギーの総量が同じであれば体積が大きくなるほど温度が低くなること、それぞれを説明しました。その二つを定量的に組み合わせると、時間と宇宙の温度の関係が計算できるのです。そして注意点は、この年表では、時間、温度ともに対数になっていることです。われわれ物理学者は対数表示になれていますが、一般の方々は見なれなくて奇妙に思えるかもしれません。この宇宙年表をご覧になられて、最初の星や銀河ができた時期が、ごく「最近」であることに驚かれた連載〜第15回〜 宇宙年表54

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