KOBECCO(月刊神戸っ子)2024年8月号
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方法で聞こえが改善されます。ご家族から「反応がないのは認知症だから仕方ない」と放っておかれていたおじいちゃん、おばあちゃんが実は「耳が聞こえてなかっただけ」ということもあり、手術を受けて家族の一員に戻れるのはとてもいいことです。蝸牛の障害は千人に1人程度の割合で先天的なケースもあります。新生児聴覚スクリーニング検査で聞こえが悪いと判定されたら、3ヶ月以内に精密医療機関で検査を受け、補聴器や人工内耳の適応を検討してもらってください。―加齢による感覚の衰えは予防できないのですか。人間は内耳にある三半規管や目、足の裏の圧感覚など様々なセンサーからの情報を利用して平衡感覚を保っています。加齢に伴い、これらのセンサーの機能や、体を支える筋力が衰えると平衡感覚が保てなくなってしまいます。少しずつでもいいので日頃からしっかり歩いて感覚と足腰の筋肉を鍛えることが大切です。飲み込む力は一気に衰えたりしないのですが食べものや飲みものが喉を通る感覚が衰えて誤嚥が起きます。ご高齢の方には冷たい飲み物やトロミをつけた食べ物で、感覚の衰えを補ってあげるといいでしょうね。聴覚に関しては大きな音は避けること。大音量でのイヤホン使用はダメです。まずは美味しく食べて楽しく暮らすこと。これが一番の予防法です。Q.病院で患者さんに接するにあたって、また大学で学生さんに接するにあたって心掛けておられることは?A.「もし自分だったら、自分の家族だったら、どうしてもらいたいかな?」と考えるようにしています。学生たちにもそんなふうに話しています。また神戸大学病院の全診療科で総力を挙げて患者さんの治療に当たり、粒子線治療のように当院では行なっていない特殊な治療が必要な時には実施可能な病院をご紹介するなど、常に患者さんのために最良の方法を考えるよう指導しています。Q.先生ご自身の健康法やリフレッシュ法は?A.早寝、早起き。朝は早くから来て仕事をして、教授が遅くまでいると周りのスタッフも帰りづらいでしょうから仕事を終えたら早く帰るよう心掛けています。そして週末は家内とのゴルフでリフレッシュしています。Q.丹生先生はなぜ医学の道を志されたのですか。中でも耳鼻咽喉科、また頭頸部がんを専門にされた理由は?A.単に父親が耳鼻咽喉科医だったから(笑)。耳鼻咽喉科・頭頸部外科は聴覚・平衡機能・嗅覚・味覚・音声・摂食・嚥下と取り扱う分野が多く、命と機能を守る外科の魅力に惹かれたというのが一番の理由です。国立東静岡病院で勤務していたころ、都心部の病院と違って地方の病院ではがん治療が難しいと気付きました。そこで、癌研究会附属病院(現・がん研有明病院)頭頸科で勉強させていただき頭頸部がんを専門とすることになりました。丹生先生にしつもん93

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