KOBECCO(月刊神戸っ子)2024年7月号
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準と授賞理由が審査委員長の柳沢正史氏から紹介された。「独創的で医工学の境界融合領域にあるという2つの基準に沿って議論を重ねた結果、臨床応用への見通し、将来の発展性、人々の医療・健康につながる決定的な発見という視点から浦野泰照氏を大賞に選ばせていただきました。同様の基準に加えY.I.賞は最終審査をシンポジウム形式で実施し、ディスカッション力や質疑応答力、将来に向けた発展性、巻き込み力を審査し3名の受賞者を決定いたしました」受賞者4名はそれぞれ喜びと感謝の思いを話し、研究内容を解説し、最後に高校生からの質問に答えた。浦野氏は「第1回の大賞をケミストリーに対して頂けたことはこの分野に所属する一研究者として非常に嬉しく思っております」と話した。特別講演では「化学は覚えるのではなく、生活を豊かにする新しいものを創り出す学問」と持論を展開し、化学の原理原則を〝診みる〟ためのサポートへと転化していった過程を分かりやすく解説した。公益財団法人中谷医工計測技術振興財団・家次恒代表理事若手研究者に光を当てる学術賞「神戸賞」神戸賞は今後、日本がリードしていくべき分野「BME(Bio Medical Engineering)生命科学と理工学の融合境界領域〜」においてイノベーションをもたらす優れた独創的な研究で実績を上げた研究者、ユニークな研究で将来が嘱望される若手研究者に光を当てる学術賞。中谷財団設立40周年を節目として精力的に若い研究者を支援すべく創設された。「第1回神戸賞授賞式」はジャズの演奏で華やかに開幕した。ステージには神戸賞アンバサダーの山之内すずさんが登壇。日々新たなことに挑戦しマルチに活躍する山之内さんは創設趣旨との親和性が高く、昨年アンバサダーに就任以来、若い人たちへの認知活動に貢献している。表彰に先立ち中谷財団代表理事家次氏は、「世界の国々が著しく成長し情勢が変化する中、『技術大国』と呼ばれてきた日本は元気を失っているように思います。この国の経済と社会を元気にして再び輝かせるには科学技術の世界でイノベーションが起きる環境を整えて研究者たちが活躍できる土壌を育み、成長につなげることが重要です」と神戸賞の意義を話した。大賞受賞者と3名のYoung Investigator賞(以下Y.I.賞)受賞者には神戸賞を象徴する〝光〟を照らす人をモチーフにしたトロフィーが山之内さんから手渡され、家次氏から大賞受賞者に表彰盾と賞金(5000万円)目録パネル、Y.I.賞受賞者3名それぞれに表彰盾と賞金(500万円)および、副賞として研究助成金(5年間で4000万円)目録パネルが授与された。審査基38

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