KOBECCO(月刊神戸っ子)2024年7月号
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はたくましさを増した。すべては歌舞伎のために…長年にわたり、幸四郎は歌舞伎の舞台のほか、映画にドラマ、ミュージカルなど幅広いジャンルに挑み続けてきた。その理由が知りたかった。「どんな仕事の依頼でも、出来る限り断りたくないと思っています。歌舞伎俳優は、どんな役でも演じられる。また、どんな役でも演じられなければいけない。そう考えてやってきましたから」父の二代目白鸚がそうだった。米ニューヨークのブロードウェイの本場で、ミュージカル『ラ・マンチャの男』を英語で演じてニューヨーカーを驚かせ、NHK大河ドラマ『黄金の日日』『山河燃ゆ』で主演し、歌舞伎ファンだけでなく、全国のドラマファンを魅了してきた。歌舞伎俳優という枠を大きく超え、国民に親しまれていく姿は、エンターテインメントの世界へ身を捧げているかのようにも見えた…。片や、その父を見てきた幸四郎は、舞台『アマデウス』でモーツァルトを演じ、映画『阿修羅城の瞳』では主演を張り、さらに数々のテレビドラマにも出演し続けている。幸四郎は、自身の活動を振り返り、こう言う。「まるで父がやってきた背中を追っているようですね」と。そして、こう続けた。「自分のためだけだったら、これらの活動はできなかったのかもしれません。すべては歌舞伎のために。そう思いながら演じてきたからできる。これからも…」近年のドラマでは、一昨年、2022年にTBS系で放送され、社会現象ともなった、二宮和也主演のミステリードラマ『マイ・ファミリー』に出演し、二宮の友人役でIT企業の代表を演じた。現代劇で見せる、その圧倒的な存在感は視聴者を沸かせた。「ドラマの放送中、私が誘拐犯ではないか、と疑う声も多く上がっていましたね」。幸四郎が笑いながら話すと、「気になって毎週、夢中でドラマを見ていました。とても面白かった」と染五郎も笑顔で答えた。鬼平犯科帳の新シリーズは5月に全国の映画館で封切られた劇場版他、ドラマ3本がSEASON1として時代劇専門チャンネルで放送される。取材時。「今は京都の撮影所でSEASON2の撮影に入っています」と幸四郎が語った。撮影が行われているのは祖父や叔父が通い、鬼平シリーズを作り上げてきた他、数あまた多の日本時代劇の歴史と伝統を紡いできた〝聖地〟である京都・松竹撮影所だ。「間違いなく、世界一の職人たちが集まったから作り上げることができた時代劇が、この鬼平犯科帳。新たな鬼平の歴史を、力を合わせて作っていかねばならないと思っています」新境地へと、また一歩踏み出した幸四郎と染五郎。親子の果てしない挑戦は、まだまだ続く。詳しくはコチラ松本幸四郎主演「鬼平犯科帳」SEASON125

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