KOBECCO(月刊神戸っ子)2024年7月号
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荒加工された原木を挽き、角材や板などの材を作り出す職人を木こびき挽と言います。その腕のみせどころは、木の内部の状態を読み、木目や柾まさめ目の切れがない調和のとれた目を効率よく生み出すことです。この見極めで木の価値が変わり、ものによっては数百万の値段の違いがでることもあります。大きさも育った環境も1本ずつ異なる木個々の性格を読み通す眼力がなくてはできない仕事です。その難しさと責任の重さから「墨掛け十年、読み一生」ともいわれます。前まえびき挽大おが鋸と呼ばれる巨大な鋸は、木挽の代表的な道具です。その巨大な鋸身全体が定規の役割を果たし、まっすぐ平らに挽き進める役割を果たします。大きな歯を持ちますが、実際に木を削るのは歯先1mmほどの「チョンガケ」と呼ばれる先端で、そのほかの歯は屑くずをはきだすための溝として機能木のふところを読む巨大な鋸身が特徴的な前挽大鋸―前挽大鋸と木挽の仕事竹中大工道具館邂逅―時空を超えて第十回14

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