KOBECCO(月刊神戸っ子2024年6月号
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前回から、宇宙をテーマにお話ししています。そして、その最初のトピックとして「ビッグバン」を採り上げました。前回は、重力、つまり引き合う力しか働かないこの宇宙で、天体は「落ちないように」必死で運動しなければならない、という話をしました。理屈ではそうであったとして、実際の天体はほんとうにそんな動きをしているのでしょうか。必死で運動しているということは、それなりの速度を持っているということですが、実は、遠く離れた天体でも、地球の上からその速度を測定することができます。天体の中でも恒星は、核融合反応によって光を放っているために、遠く離れた地球でも観測できます。その光の波長は、もしその天体が観測者に対してある速度で動いているならば、もともと放たれた波長からずれるのです。これをドップラー効果と言います。このドップラー効果は、波特有の性質で、光でも音でも起こる現象です。たとえばみなさんは、目の前を、救急車がサイレンを鳴らしながら通り過ぎた、という経験があるでしょうか。そのとき、自分に近づいて多田先生!素粒子物理学者の   宇宙物理学教室教えて 連載〜第12回〜 膨張する宇宙自然界で最も大きな存在が宇宙、そして最も小さな存在が素粒子と考えられている。素粒子を研究することで、宇宙のはじまり、人間の存在を解明する︱︱ 日本の誇りをかけて、その最前線で日々研究に打ち込む素粒子物理学者・多田将先生。この連載で謎に包まれた宇宙について多田先生に教えていただきます。さあ、授業のはじまりです!64

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