KOBECCO(月刊神戸っ子2024年6月号
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「そうじゃなくて、適度に木を切ってあげて山を育てることが大事なんだよ」ということを伝えていきました。この活動では、六甲山の木と聞いて、“使いたい”という人が多く、街への愛着が強い神戸ならではだなと感じました。改めて、御社の社会的な役割をどのように考えられているかお聞かせ頂けますか?六甲山を資源として見た時に、大規模な会社さんに木をたくさん買ってもらえば良いのか?というと、そうではないと思うんです。原材料を搾取されているだけで、地域の利益にはならない。小さなローカルの循環の中の仕組みの中で、山が地域の資源として色んな人に恩恵をもたらすものでないといけないと思うんです。それが、山を枯渇させずに、かつ放置させない一番の方法であると、私は今のところ結論付けていて、それを色んな山と地域に横展開していくことを使命だと考えています。イメージとしては、我々をモデルにして、広島県なら広島県の、長野県なら長野県の、といったようにローカルごとに、その地域に合わせた循環の仕組みを広げていってもらえたらと思っています。改めてになりますが、小さな規模でも付加価値を上げながら、地域の人々に恩恵があるような仕組みを作りたいと考えています。SHARE WOODS. 工房兼倉庫 (MARU) 神戸市兵庫区西出町1-2-8シェアウッズ工房兼倉庫TEL.0120-492-690〈取材を終えて〉いわゆる表六甲は市有林であり、ここの手入れから発生する樹木は「市有財産」であるため市場に流通するにはいくつかのハードルがあるそうだ。一方で、私有林が多い裏六甲は山崎さんが見てきた各地の課題と共通点が多く、昔からスギ・ヒノキを自分達の手で間伐したり、手入れをしてきているにも関わらず、搬出コストが合わず間伐された丸太は切り捨てたまま放置されていたそうだ。 そんな裏六甲の木材を「SHARE WOODS.」では製品に変えるとともに、去年から丸太置き場を作って、買い取ったり、製材して持って帰ってもらうという取り組みを始めたそうだ。枝も葉っぱも全部使えるような仕組みを目指す山崎さん。身の回りで、身近なものを必要な分だけ消費していく、そんなライフスタイルの提案によって、持続可能な街と山の関係が、少しずつ近くなっていくのかもしれない。〈プロフィール〉蔭岡翔(かげおか しょう)放送作家・脚本家神戸市東灘区在住。関西の情報番組や経済番組などを企画・構成。日本放送作家協会関西支部監事。日本脚本家連盟関西地区総代付加価値を上げながら、地域の人々が恩恵を得られる仕組みを作りたい32

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