KOBECCO(月刊神戸っ子2024年6月号
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始まったといってもいい。今から6年前。2018年、兵庫県の明石市立文化博物館で、ゴジラをテーマにした大森監督の講演会が開催され、筆者が司会を務めた。講演後、大森監督と参加者との質疑応答のコーナーで、最後に一人の男子小学生が元気よく手を挙げ、こんな質問をした。「僕は大森監督に憧れています。どうすれば映画監督になれますか?」大森監督は真剣な表情で「とにかく今は本をたくさん読むこと」とアドバイス。すると講演会に急遽飛び入りで参加してくれた富山がこう付け加えた。「大森監督はたくさん脚本を書いて映画監督になったんですよ。あなたもたくさん文章を書きなさい。そして将来、映画の脚本を書いてください」若き大森監督とともに歩んだ盟友の言葉。その答えを隣で聞きながら、大森監督が男子児童に優しく微笑みかける姿が印象的だった。=終わり。次回は作家、島尾敏雄。(戸津井康之)さらに、「今だから明かせる」と語っていた、こんな秘話も…。「映画の中では、当時の防衛庁の架空の部署である『特殊戦略作戦室』や、これも架空の自衛隊の階級である『特佐』を登場させたのですが、自衛隊側から、『そんな作戦室という部署や特佐などという階級は存在しませんよ』と、指摘されましてね。困りました」と大森監督は苦笑した。練りに練った脚本を変えなくてはいけないピンチである。「いくらフィクションの映画ですから…と話しても許可してもらえない」だが、自衛隊員が国民を守るために命懸けで戦う姿を描いた大森監督の脚本の意図が伝わり、「『今回だけにしてくださいね』と、結局、最後は許可してくれてほっとしました」と話す大森監督はうれしそうだった。映画界だけでなく、自衛隊のこれまでの常識、概念をも大森監督は変えていったのだ。アナログからデジタルへさらに、こんな秘話も…。大森監督が言う。『ゴジラVSビオランテ』は陸上自衛隊が初めて全面協力してくれた特撮映画なんです。大阪城公園に現れたゴジラと、迷彩服姿の陸上自衛隊員が対決するシーンなどは実は当時、画期的なことだったんです」2016年に公開された国内の実写版29作目「シン・ゴジラ」へとつながる、ゴジラと自衛隊とのリアルな戦闘シーンは、実は「ゴジラVSビオランテ」から始まっていた。大森監督のゴジラ秘話はさらに続いた。「実はミニチュアセットで市街地をすべて再現しているのは、この作品が最後。これ以降はCG映像が採用され、ミニチュア撮影はCG映像へと次第にとって変わられていく。アナログからデジタルの時代へと移り変わっていくのです」国内の実写30作目となった「ゴジラ-1.0(マイナスワン)」で山崎貴監督は今年の米アカデミー賞視覚効果賞を受賞。アジア勢初の快挙となったが、このVFX技術の進化の流れもまた、大森監督が手掛けた平成ゴジラから143

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