KOBECCO(月刊神戸っ子2024年6月号
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をより動きやすくしようという方法です。術前CT・MRIの画像データを使う術前シミュレーション、術中の3D画面に重ね合わせる術中ナビゲーションなどがあり、例えば血管や尿管などが隠れている場合でも画面上で位置を確認しながら傷付けることなく手術を進めることができます。肝臓のように臓器の外からはがんの位置を確認できない場合でも、画像を重ねると画面上で目視ができます。また術中の映像は必要に応じて共有でき、さらにデータはすべてコンピュータ上に記録されるので最も無駄のない動きの解析も可能です。―最先端の治療が神大病院の強みなのですね。すべての診療科がそろった大学病院の役割はさまざまな合併症を持つ患者さんの治療です。鏡視下手術やロボット支援手術はがんセンターなど専門病院でも数多く行われていて、若い患者さんであれば最先端の治療を受けることができます。ところが高齢の患者さんも多く、例えば心臓疾患を持っている場合は循環器の専門医がそろった大学病院で治療を受ける必要があります。あらゆる患者さんに対応して最先端の治療を提供できるのが神大病院の強みです。掛地先生にしつもんQ.掛地先生はなぜ医学の道を志されたのですか。中でも消化器外科を専門にされた理由は?A.人と接することに興味を持っていて、その中でも医学がおもしろそうだなと思っていました。どちらかと言えば文系だったのですが、子どもの頃に見たテレビドラマに影響されたかな(笑)。出身校の九州大学では総合外科ですべての領域を網羅し、卒後3年目の専門選択時、第一希望に食道を出したところ、「ちょっと下の胃でもいいか?」と教授に聞かれて「はい」と(笑)。胃がんから始めて、食道がん、大腸がんを専門として、12年前に神戸大学へやって来ました。Q.病院で患者さん、また大学で学生さんに接するにあたって心掛けておられることは?A.アメリカの外科学会では「Trust is built brick by brick(信頼はれんがを一つ一つ積むようにしか得られない)」と言われています。私自身、プロの外科医として患者さんを一人の人間として尊重しながら信頼関係を築くことを心掛けています。学生たちにも常に伝えるようにしており、それぞれに個性はありますがちゃんと応えてくれます。学生が持つ能力を伸ばしてあげて、プロの医師として育てることが私の役目だと常々思っています。Q.掛地先生ご自身の趣味やリフレッシュ法は?A.特にないのですが、くよくよせず、ストレスをためないことかな。体を動かすことが嫌いなわけではないのですが時間が取れなくて…そろそろスケジュール管理も自分でできるようになってきたので何か始めようかと思っています。111

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