KOBECCO(月刊神戸っ子2024年6月号
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口から入った食べ物は食道を通り、胃を通って消化吸収され、腸で便が作られ排出されます。日々その働きを身近に感じる臓器ですが、がんも心配。現状や最新の治療法、予防法など掛地吉弘先生にお聞きしました。―食道胃腸外科とは?「消化管」と呼ばれる部分、具体的には食道と胃、腸の中でも主に大腸、疾患としては食道がん、胃がん、大腸がんを中心に扱い外科的治療を行っています。―消化器がんの患者さんは多いのですか。1年間(2019年)の日本における部位別がん罹患数(がん研究振興財団がん統計2023)によると、食道、胃、大腸(結腸・直腸)を合計した消化器がんは男性で約34%、女性で約26%を占めています。男性ではがん患者さんの3人に1人、女性では4人に1人が消化管のがんに罹っているということです。―原因は?予防はできるのでしょうか。女性の約5倍の割合で男性の罹患数が多い食道がんについては、喫煙と飲酒が大きく関わっています。まずは禁煙、お酒を飲んだら顔が赤くなる人は飲みすぎないように気を付けて、定期的に内視鏡検査を受けるのが望ましいでしょう。また、刺激物によって食道の粘膜に炎症が続くとがんの原因にもなります。日本人の胃がんのほとんどはピロリ菌が原因です。検査と除菌が推奨され、おそらく2030年ごろをピークに胃がんは減少していくだろうと予測されています。今の中学生のピロリ菌保有率は1〜2%くらいですから、彼らが壮年になるころにはほとんど胃がんはなくなっているでしょうね。大腸に関してはがんになる原因ははっきりしていません。腸内細菌との関わりも議論されています。神大病院の魅力はココだ!Vol.32神戸大学医学部附属病院食道胃腸外科掛地 吉弘先生に聞きました。108

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