内細菌のバランスの改善や宿主の生理機能亢進により病気リスクを軽減する働きがありますが、最近ではアレルギーや呼吸器感染の予防、食餌性コレステロールの低減やピロリ菌の抑制、口腔疾患や大腸がんを抑える効果が報告されているそうです。辨野先生は、20世紀は病気になってからあわてて抗生物質などにより治療するアンチバイオティクスの時代だったが、21世紀は腸内細菌を改善し有用な微生物を病気の予防や健康づくりに役立てるプロバイオティクスの時代と力説されていました。さらに、サイコバイオティクスについても紹介していました。─耳慣れないワードですが、どんなものなのでしょうか。頭司 心理的・精神的に関与しているのではないかと思われる腸内細菌のことだそうです。サイコバイオティクスを活用し、ストレスの緩和や睡眠の質の向上など、脳に働きかけてメンタルの部分を改善できるようになるのではと期待されています。─腸内細菌を調べると、生活習慣がわかりそうですね。頭司 辨野先生によると近年、腸内細菌叢データベースが構築され、腸内細菌の構成や機能と、年齢性別や体重などの属性、食習慣や生活習慣や精神状態などの環境、そして健康状態を関連付けて解析する研究がおこなわれているそうです。そのデータベースは生活習慣病の予防や健康増進に役立てるだけでなく、ひいては国民医療費の削減に結びつくかもしれませんね。─テーマにある「長寿菌」とはどんな菌ですか。頭司 健康長寿の方の腸内細菌には、腸内環境を整えるビフィズス菌と、がん細胞を抑制し腸粘膜を改善する酪酸産生菌である大便桿菌や大便球菌が多いそうです。辨野先生はこれらを「長寿菌」とおっしゃっていました。─いわゆる善玉菌、プロバイオティクスですね。頭司 プロバイオティクスには腸─腸内環境のコントロールが大切なのですね。そのためにはどうすれば良いのでしょうか。頭司 便所とは体からの便=便りを受け取る所で、毎日うんちをチェックする習慣をつけましょうということです。うんちをつくる力のために食物の本質を考えて食べること、うんちを育てる力のために長寿菌優位の環境をつくること、うんちを出す力のために運動をすることが大切だというアドバイスもありました。より良い腸内環境のためには、偏った食事と運動不足を避けなければいけませんね。─宝塚市民健康特別講演会は来年も開催されますか。頭司 来年の2~3月頃に開催予定です。日程やテーマが決まり次第、宝塚市医師会ホームページや宝塚市の広報紙「広報たからづか」に掲載しますので、ぜひご来場ください。106
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