KOBECCO(月刊神戸っ子2024年6月号
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「鵯越道」とは古来より藍那から現在の神戸電鉄鵯越駅付近を経て夢野に至る道のことだ。しかし『平家物語』で「一谷の後なる鵯越」という記述があることから、鵯越が須磨の後ろの山だという解釈もある。そんな疑問に田辺先生はズバリ斬り込む。もともと一谷とは鉢伏山の麓の谷、須磨の狭いエリアの地名だが、「『平家物語』や『東鑑』では、生田から須磨にかけての広範囲の戦場全体についても『一谷』と記されているんです」と田辺先生。ゆえに一谷は狭義では須磨の一部だが、広義では現在の神戸の中心地を示していると、具体的な古文書の記述をもとに解説した。鵯越の位置が広義の「一谷の後」と解釈すると、『平家物語』の記述に不自然はない。そのようなお話を聴いてから参加者たちは義経ゆかりの道のハイキングを楽しんだが、しばし時空を旅した気分になったことだろう。そして今回のコースの終点、神戸電鉄鵯越駅では新たに、田辺先生による解説板が設置されている。今回の講演とハイキングは、その完成記念。また、神戸芸工大学の学生による巨大な義経のイラストも登場。源平合戦、そして義経ゆかりのスポットとして、より人気を集めそうだ。芦屋文化サロン「古典文学と兵庫の街かど」日 時7月5日(金)14:00~16:00会 場芦屋ルナ・ホール・「『伊勢物語』・『源氏物語』と須磨・芦屋」講師 田辺眞人・古典落語「明石名所」落語家 桂阿か枝・鼎談田辺眞人・桂阿か枝・竹村忠洋(芦屋市学芸員)申込・問合せ TEL.0797-35-0700(芦屋市立公民館)前売1,500円/当日2,000円/学生1,000円ローソンチケット(Lコード:53728)、市役所公民館でも販売鵯越駅の駅舎には義経のイラストが103

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