KOBECCO(月刊神戸っ子)2024年5月号
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ついて議論を行っています。―神大病院へは緊急搬送される患者さんが多いのですか。急を要するケースとして、急性心筋梗塞が挙げられます。心筋梗塞は突然発症するケースが多く、市民病院や県立病院などの地域の基幹病院での受け入れ体制が整っているため、速やかに治療が行われています。これは日本の医療の優れているところです。神大病院では、心筋梗塞のような緊急を要する心疾患の受け入れは、基幹病院と同様に行っていますし、これらの病院では手に負えない重症症例や、高度な医療技術を必要とする症例の受け入れも行っています。―神大病院が得意とする心臓・血管に対する診療や先進的な治療法は?心臓移植以外の全ての循環器診療が可能です。虚血性心疾患・閉塞性下肢動脈硬化症・心臓弁膜症に対する経皮的カテーテル治療、慢性血栓塞栓性肺高血圧症に対する肺動脈バルーン拡張術などに力を入れています。不整脈疾患に対するカテーテルアブレーション治療や埋め込み型ペースメーカーなどのデバイス感染に対しての経皮的ペースメーカリード抜去術は兵庫県下で有数の症例数です。経皮的補助循環装置(ECMOやIMPELLA)や埋め込み型補助人工心臓(VAD)を必要とする重症心不全患者さんの診療、幼少期に心臓病を指摘され、成人期に達した成人先天性心疾患(ACHD)診療の実績が増えてきています。―心臓や血管の疾患を予防するために大切なことは?生活習慣病が原因になることが多く、予防には体に良いものを食べるのが一番だと分かっていても、塩分が多いものやコ―循環器内科の領域なのですね。心臓血管外科の先生方は、大動脈の病気の一つである大動脈瘤の血管内治療を放射線科の先生方と協力して行っています。また、頭や頸の血管内治療に関しては、脳外科の先生方が担当されます。血管内治療の全てが循環器内科の領域というわけではありません。虚血性心疾患や弁膜症は、循環器内科・心臓血管外科が共に治療可能な領域で、両診療科が協力して、どの治療が患者さんにとって最善か、患者さんの気持はどうかを、しっかり議論し診療に当たっています。―チーム医療ですね。治療には、チーム医療はかかせません。他科の先生方(心臓以外の病気を複数持っていることもある)、心臓リハビリの資格を持つ先生方や理学療法士さん、患者さんの日頃の様子を把握している看護師さんにも意見を聞き、多職種で治療方針に94

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