KOBECCO(月刊神戸っ子)2024年5月号
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庭園には遊び心にあふれた回文が咲子夫人の染め付けコレクションも展示亡くなって10年とは思えない2階のアトリエ画材のために世界中の民芸品などを収集したインスピレーションを得て描いた「大地の聖母子」で「絵画の直木賞」と評される安井賞を受賞、全国にその名を轟かせた。その後も2015年に91歳で大往生を遂げるまで絵筆を握り続けるとともに、神戸の文化振興や芸術家の育成に尽力するなど多方面で活躍。兵庫県文化賞、神戸市文化賞、神戸新聞平和賞のほか、日本とモロッコの交流への貢献でモロッコ大使館からも表彰を受けている。本誌でも表紙や司馬遼太郎の連載の挿画を担当するなど、創刊の頃から協力を惜しまなかった。そんな画伯が1960年代から生涯過ごした東灘区鴨子ヶ原のアトリエと邸宅は、記念館「無字庵」として2019年にオープン。健在の頃の雰囲気そのままで、「よく来たな!」と画伯がひょっこり顔を出しそうな空気感に満ちている。その無字庵では生誕100年を寿ぎ、画伯が亡くなるまで「手もとに置いておきたい」と居間の棚で大切にしていたスケッチブックが特別に公開され84

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