KOBECCO(月刊神戸っ子)2024年5月号
67/136

それの何が問題かというと、引き合う力しか働かないのであれば、やがて天体は互いにくっつき合って、宇宙は一箇所に固まってしまうことになります。ところが、実際の宇宙は、百億年以上にわたって、広い空間に散らばって生き永らえていることもわかっています。この矛盾はいったいどういうことでしょうか。たとえるなら、今仮に我々がボールを手にし、それから手を離すと、ボールは落下していきます。地球の重力に引かれるからです。空中で安定して止まっていることなどないでしょう。ではなぜ宇宙は百億年以上にもわたって「空中に留まっていられる」のでしょうか。このことをより数学的に表現したのが一般相対性理論におけるアインシュタイン方程式です。この詳細についてはずっとあとのほうでお話ししますが、ここでは、重力と空間の関係を示した式だ、くらいに思っていただければ結構です。重力だけが影響を及ぼすとすると、さきほどのように宇宙は不安定になってしまうので、式と、電気や磁気は均衡が取られていて、結局はその大きさで働く力は重力しかありません。すると、ここに大きな問題が生じます。重力は、引き合う方向にしか力が働かないのです。しかありませんが、電磁力を働かせるには、天体が電気か磁気を帯びている必要があります。しかし、局所的ならともかく、恒星や、恒星系や、銀河や、そういった巨大な大きさで考える67

元のページ  ../index.html#67

このブックを見る