KOBECCO(月刊神戸っ子)2024年5月号
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前回までは、素粒子の中でも、ニュートリノについてシリーズでお話しし、最後には「我々はなぜ存在しているのか」という「人類最大の謎」を解き明かす実験についての話で締めくくりました。今回からは、少し趣向を変えて、宇宙の謎についてのお話しをしていくことにしましょう。その最初のテーマは「ビッグバン」です。宇宙物理学になじみのない方でも、「ビッグバン」という言葉は聞いたことがあるかも知れません。宇宙の始まりを象徴するような言葉です。これを直訳すると「大きな爆発」ですので、多くの人は、宇宙は最初、大きな爆発によって始まったと思っているかも知れません。しかし、一般に想像されるような「爆発」などなかったのです。では宇宙の始まりにはいったい何があったのか。それについて、数回にわたってお話ししていきましょう。宇宙の大きさで考えるときに、それぞれの天体の間で働いている力というのは、実は重力くらいしかありません。はるか彼方にまで影響を及ぼす力というと、ほかには電磁力くらい多田先生!素粒子物理学者の   宇宙物理学教室教えて 連載〜第11回〜 空はなぜ落ちてこないのか自然界で最も大きな存在が宇宙、そして最も小さな存在が素粒子と考えられている。素粒子を研究することで、宇宙のはじまり、人間の存在を解明する︱︱ 日本の誇りをかけて、その最前線で日々研究に打ち込む素粒子物理学者・多田将先生。今月号から、謎に包まれた宇宙について多田先生に教えていただきます。さあ、授業のはじまりです!66

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