KOBECCO(月刊神戸っ子)2024年5月号
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も、実はいい作品を作るためには、そうやって現場で互いに素直に意見を出し合うことは、とても重要なことではないかと痛感させられました」。では、日本俳優の井浦さんの演技は米映画人たちにどう映っているのだろうか?「感情を自然に表現し、それでいて、地に足のついた演技ができる。そんな俳優は他にはいない」これが、マーク監督やプロデューサーのブリガムが、井浦さんを主演に抜擢した大きな理由だった、と明かしている。尽きることのない演技への情熱「出演を依頼され、スケジュールさえ合えば、できるだけ断らず、出演したいと思っています」と井浦さんは語る。とはいうものの、昨年は出演した映画4本が公開され、ドラマ4本が放送、配信された。ジャンルも演じる役も多岐にわたる。こんなハードスケジュールの中、いったい、いつ米国で『東京カウボーイ』が撮影されたのかが気になった。「実は当初、依頼された時期は他のスケジュールが埋まっていました。だから、それらの撮影が終わるまで、監督やスタッフ、共演者たちはずっとアメリカで待ってくれていたんです」。オファーは絶えないが、今後、演じてみたい役は、まだあるのだろうか。「まだまだ演じていない役、やってみたい役はたくさんあります」と答え、「その一つは時代劇です」と教えてくれた。過去にNHK大河ドラマ『平清盛』や現在放送中の大河ドラマ『光る君へ』にも出演しているが、「いずれも平安時代。今後演じたい役は、もっと後の時代なんです」。そう話し、続けて挙げた役の名を聞いて色めき立つ映画関係者は少なくないだろう。「いつか、土方歳三を演じてみたい…」。井浦さんは1974年、東京都日野市の出身。遡ること約140年前。日本の歴史の転換期に生きた幕臣、新選組副長の土方歳三は1835年に日野市に生まれている。「私と同郷である彼の生き方に、ずっと惹かれてきました」。崇徳上皇や藤原道隆、そして三島由紀夫…。時代を超えた幾多の歴史上の人物を演じてきた名優、井浦新が体現する土方歳三の生きざまとは…。国内外からオファーが絶えず、米映画初主演も果たした。侍のように世界の映画界へ挑む日本俳優が満を持して挑む時代劇。その新境地を見てみたい―。そう願う映画ファンは多いに違いない。『東京カウボーイ』■監督:マーク・マリオット■脚本:デイヴ・ボイル、藤谷文子■出演:井浦新、ゴヤ・ロブレス、藤谷文子、ロビン・ワイガート、國村隼■原案:マーク・マリオット、    ブリガム・テイラー■配給:マジックアワー2024年6月7日(金)、全国順次ロードショー!25

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