KOBECCO(月刊 神戸っ子)2024年4月号
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前回は、「我々はなぜ存在しているのか」につながるCP対称性の破れを説明する理論と実験について、クォークに関してお話ししました。今回は残るレプトンに関してお話ししましょう。前回、小林・益川理論とそれを証明したBelle実験についてお話ししました。クォークでCP対称性の破れが証明されたのであれば、次はレプトンです。実は、それを説明する理論は、小林・益川理論の一一年前にすでに発表されていました。そう、第5回でご紹介した「ニュートリノ振動理論」、あれこそが、レプトン(ニュートリノ)におけるCP対称性の破れを説明する理論だったのです。実際、ニュートリノ振動理論と小林・益川理論はよく似通っており、その中心をなす、三世代のニュートリノ間/クォーク間の関係を示す(同時にCP対称性の破れを示す)行列式は、ほとんどまったく同じものです。それもそのはずで、小林先生と益川先生はニュートリノ振動理論の坂田先生の弟子で、同理論を参考にして小林・益川理論を構築したからです。では、そのニュートリノ振動理論を証明する、とくにその多田先生!ニュートリノと 宇宙のはじまり教えて 連載〜第10回〜 人類最大の謎に挑む実験宇宙のはじまりとは―。最初に存在した最も基本的な物質、つまり素粒子を組み上げて恒星や銀河系をつくり、宇宙は出来上がったと考えられています。素粒子のひとつニュートリノを研究することで、なぜ宇宙の始まりが解明できるのか、この連載で素粒子物理学者の多田将先生に教えていただきます。70

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