KOBECCO(月刊 神戸っ子)2024年4月号
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 何も映し出さない真っ白なスクリーンを前に「オレらが見てる今がさ、誰かのファンタジーやったらどないする?」。ヒー兄(森山未來)の言葉を「そんなわけないやん」と笑いとばす主人公・コウ(富田健太郎)。夢の中の映画館のシーンから映像が始まる。ギターでEコードの鳴らし方を教え「これで世界変わるんやで、一瞬やで」と言い、「音が良くなるんや」とギターをコンロの火で焼くヒー兄。突飛な行動に翻弄され、理解できない言葉のシャワーを浴びて「何ゆうてるかわからへん」と言いながら成長してくコウ。応募総数約3500人の中から主役に抜擢された富田自身の成長とオーバーラップする。映像の背景に常にあるのは、抜け感と湿気が溜まった閉塞感を併せ持つ瀬戸内の「空」と「海」、そして雑多な神戸の街。この映画には欠かせない伏線になっている。GEZANのフロントマン・マヒトゥさんの初監督作品。面識もなく、演奏を聴いたこともなかったという森山さん。突然のオファーを受け、出演を承諾する条件に出したのは「明石・神戸でのオールロケ」だった。もう一つの決め手となったのはマヒトゥ監督が脚本の中に紡いだ〝言葉たち〟。「中でも印象に残っている言葉は?」という問いに、「『お別れなんてこの世界にはないのさ。出会い続けろ』。僕も使わせていただいています(笑)」と森山さんは即座に答えてくれた。 プロデューサーの宮田幸太郎さん(スタジオブルー)を進行役に開催された舞台挨拶。マヒトゥ・ザ・ピーポー監督と森山未來さんが『i ai』キーカラー〝真っ赤〟に身を包んで登場した。「お帰りなさい」と迎えられた二人は「やっと帰って来られて嬉しい」「ただいま」と答えた。映像の中に散りばめられた心に刺さる言葉たち〝真っ赤〟な二人の舞台挨拶マヒトゥさん初の監督作品。明石・神戸でのオールロケが森山さんが出した出演の条件3月9日の舞台挨拶の様子51

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