KOBECCO(月刊 神戸っ子)2024年4月号
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性質や超人的な力能をもつ不思議な性質」と、まるで超能力的な霊力のような働きのように書かれていますが、そんなものではなさそうな気がします。われわれの住む世界は、一つではなく二つの世界からできていて、この二つがそのまま一つだというのです。二つの世界の一つは、『感性と知性』の世界で、もう一つは『霊性』の世界です。感性と知性の世界とは、この実在の世界のことです。それに対して、もう一つの霊性的世界は非実在で、観念的で、空想の世界で、詩人や瞑想家の頭の中にだけあるものと決めつけられています。でも、宗教的な立場から見ると、この霊性的世界ほど実神戸で始まって 神戸で終る ㊻知性から霊性へそんな年長者を待たすわけにはいきません。どんな理由があろうと、僕は大変な失礼をしてしまったのです。礼儀礼節は、何も時間を守ることだけではなく、社会生活のあらゆる側面で、人間として最低守らなければならない常識です。それが守れないで何が芸術だと三島さんは言いたいのです。そのことを三島さんは次のように言いました。「創造(芸術)が縦糸だとすると横糸は礼節である。その二つの糸が交わった交点に霊性が生じる」と。ここで僕は初めて『霊性』という言葉を耳にしました。手元にある三冊の辞典には出ていません。そこでネットで調べると「霊性とは非常に優れた編集部の田中さんから、『知性から霊性へ』シリーズ3回目として、「知性尊重主義の現在から霊性が支配する世に方向転換するためにはどうしたらいいのでしょうか」と問われてしまいました。正直言って難しいですね。以前にも書いたかと思うのですが、ある時、三島由紀夫さんから次のようなことを言われました。僕の60年代の作品を見て、「実に無礼な作品だ」と。でも絵は無礼であっていい。だが画家は、日常においては礼儀礼節を守るべきだと。三島さんと会う時、僕が何度か遅刻してしまったことを戒めるために言われた言葉だったのです。少なくとも三島さんは僕よりずっと年長者です。Tadanori Yokoo美術家横尾 忠則撮影:山田 ミユキ1616

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