KOBECCO(月刊 神戸っ子)2024年4月号
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Vol.04ある脳性麻痺のボランティアから教えられたこと愛の手運動は親に育てられない子どもたちに、里親・養親を求める運動です。募金箱の設置にご協力いただける方は協会にご連絡ください。公益社団法人 家庭養護促進協会 神戸事務所神戸市中央区橘通3-4-1 神戸市総合福祉センター2FTEL.078-341-5046 https://ainote-kobe.orgE-MAIL:ainote@kjd.biglobe.ne.jpシアトル市にある赤十字社がボランティアを募集しているという新聞記事を読んで、さっそく応募しました。日本人の応募は珍しかったのか、すぐに「採用」されてシアトル市から車で2時間ほど南にある「レニア・スクール」という州立の巨大な施設で活動することになりました。毎週1回シアトル赤十字社の車で4人が1グループになり、この施設にボランティアとして出かけていきました。男性は私一人で後の3人は女性でした。うち2人は家庭の主婦で、1人は女子学生でした。が、その女子学生には脳性麻痺という障がいがあり、彼女は施設でボランティアとして、入所している知的障がいの子どもたちに学習指導をしていたのです。私は彼女がボランティアとして他の障がいのあるこどもたちのために毎週1回時間を割いて活動をしていることに驚きました。当時の私の頭の中には、その女子学生は脳性麻痺という障がいがあるので、ボランティアのサービスを受ける側であって、サービスを提供する側ではないはず、という思い込みがあったのです。私の単純な頭は混乱しましたが、彼女はボランティアが何であるかを一緒に行動することによって身をもって私に教えてくれたのでした。強い人が弱い立場にある人に、時間や生活に余裕のある人が困っている人のために、健康な人が病気や障がいで苦しんでいる人のために、何か手助けをしてあげる、力になってあげる、のがボランティアという先入観念は根底から覆されました。人は誰かの役に立ちたい、何かの役に立ちたい、という気持ちは障害や病気の有無、生活にゆとりがあるなしに関係なく、誰もが持っているものであり、その思いを具体化するのがボランティアなのだ、ということを学ぶことができました。この赤十字社のボランティアとしての経験が、「アメリカのボランティアのことをもっとよく知りたい」という思いにかられ、シアトルのこども病院でのボランティアに申し込むきっかけになりました。出会いと学びの旅から公益社団法人家庭養護促進協会事務局長橋本 明112

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