KOBECCO(月刊 神戸っ子)2024年4月号
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6.0%未満も〝かくれ糖尿病〟の糖尿病予備軍と評価します。というのは、その中の1割程度に食後血糖が高い人がいるからで、食事指導や運動療法を採り入れながら早い段階で糖尿病の予防に結びつけています。以上のような内容でした。─第四席はどなたの講演でしたか。片山 公立学校共済組合近畿中央病院消化器内科部長の柄川悟志先生に「大腸がんを早く見つけて早く治そう」というお話をしていただきました。大腸がんはがん検診の項目にあり、便を採って調べます。検査が1回だけですと発見率が50%ほどしかないですが、2回以上検査すると80%以上になりますので、2回連続して検査することが必要です。それにより大腸ポリープを見つけて除去すれば、大腸がんが予防でき、6ミリ以上取れば有益です。ポリープは早期であれば内視鏡で切除でき、特に有茎性=盛り上がっているものは焼い入っていて、腎機能低下の早期発見・早期治療に結びつけています。現在ではさまざまな治療法が出てきていますので、早く見つければ治療することも可能です。─第三席はどのようなテーマでしたか。片山 「〝かくれ糖尿病〟を見逃すな!」の演題で、市立伊丹病院副院長の濵口朋也先生にお話をしていただきました。特定健診には空腹時血糖値とヘモグロビンAエーワンシー1cが検査項目にありますが、血糖値だけでは糖尿病を見つけることができません。健診では空腹時の血糖値を測定しますが、これだけでは食後の血糖値はわかりません。一方でヘモグロビンA1c値は赤血球中のヘモグロビンという色素がどれくらい糖と結びついているかを示すもので、ふだんの血糖値が反映されます。基本的にヘモグロビンA1c値が6.0%以上で境界型糖尿病と判定するのですが、正常値の範囲ではありますがその手前の5.6%以上て取ることができますし、無茎性=盛り上がっていないポリープは生理食塩水を注入して膨らませて切除することが可能です。また、大腸ポリープの一部に大腸がんも含まれています。以上のような内容でした。ちなみに伊丹市では国保特定健診や後期高齢者健診の際に、65歳以上の方は無料、65歳未満の方はプラス600円で大腸がん検診を受けられますので、ぜひ検査しましょう。─第五席はどんなお話でしたか。片山 市立伊丹病院老年内科部長の伊東範尚先生に「フレイルを乗り越えよう」をテーマにお話しいただきました。フレイルとは健康な方と要介護の間で可逆的な状態のことをいいます。フレイルには身体的フレイル、精神的フレイル、社会的フレイルがあり、これらが相互に関係し、ドミノ倒しのように悪くなって介護が必要になる傾向があります。フレイルの予防ですが、身体的フレイルには継続的110

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