KOBECCO(月刊 神戸っ子)2024年3月号
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れ」と言います。「C」とは「Charge」、つまり電荷のことです。「P」とは「Parity」、一般生活では馴染みのない言葉ですが、空間配置のことです。第7回でお話ししたスピンのことを思い出していただければ、要するにスピンが左巻きか右巻きか、ということだと思っていただいて結構です。その第7回では、物質と反物質では、この電荷とスピンがともに正反対になっている、ということをお話ししました。ですから、ここで言う「CP対称性」とは、電荷とスピンがどちらもちょうど正反対になっていて、それを同時にひっくり返す、つまり「反転」させればまったく同じものになる、ということを意味しています。そしてもし物質と反物質で寿命が違うのであれば、CPを反転させても同じものにはならない、つまり「CP対称性が破れている」ということになります。このCP対称性の破れの問題について、一気に解決するのではなく、クォークとレプトンです。一人の天才がいきなり考え出した理論ではなく、「人類が積み上げてきた体系」というところに、その価値があるのですから。物質・反物質の非対称のことを、「CP対称性の破を否定してしまうのではなく、物質・反物質問題も解決できるよう、「少し修正」するのが筋というものです。実際、標準理論は、そうやって多くの人たちが弛まぬ努力によって「修正」して、今の形になったもの物質を構成する素粒子の一覧第1世代クォークレプトン第2世代第3世代アップクォークuダウンクォークdチャームクォークcストレンジクォークsトップクォークtボトムクォークb電子e電子ニュートリノνeミューオンμミューニュートリノνμタウオンτタウニュートリノντ65

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